まさかの苦戦…最下位シャルケが見出した希望とは? 対戦相手の名手ノイアーや吉田麻也が復調実感「ちょっと変わってきた」

最下位シャルケの巻き返しは?【写真:Getty Images】
最下位シャルケの巻き返しは?【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】序盤から苦戦が続くシャルケ、監督交代を機に戦い方に変化

 ワールドカップ(W杯)開催のためシーズン途中で中断となっていたドイツ1部ブンデスリーガで現在最下位(18チーム中18位)に沈んでいるのが、日本代表キャプテンの吉田麻也がプレーするシャルケだ。昨季1年で2部からの再昇格を果たしたものの、今季序盤から苦しい戦いが続き、厳しい残留争いを余儀なくされている。

 2部リーグでは圧倒的だった。エースFWのシモン・テローデが30得点を挙げ、見事2部で史上初となる4度目の得点王を獲得。守備ではレンタル移籍で加入していた日本代表DF板倉滉(現・ボルシアMG)が抜群のパフォーマンスで、盤石な守備を築いていた。

 シャルケファンからも期待が高まっていた昇格シーズンだったが、新監督に就任したフランク・クラマー監督の戦術はまるで機能せず。奥川雅也がプレーするビーレフェルト監督時代は積極的なプレスと素早いパス交換から相手ゴールを強襲するスタイルが上手くはまり、1部残留へと導いたものの、シャルケではどこを取ってもポジティブなところが見出せない。人数をかけてゴール前を固め、奪ったらとにかくロングボールをテローデに当ててカウンターへというやり方は、抱える戦力とまるで噛み合わない。得点は奪えず、失点はどんどん増えていく。

 10月19日にクラマーが解任され、同27日には元ボーフム監督のトーマス・ライスが新監督として発表された。

 この監督交代で少なからずチームの戦い方は整理されるようになる。攻守において選手が明確なプレーイメージがないままだったクラマー政権下と比べ、それぞれの局面ごとの優先順位がはっきりし、不用意なロングボールを蹴り込むのではなく、ビルドアップからシンプルなパスをつないでゲームを作る意思が生まれている。守備でも選手間の距離や立ち位置が修正され、4バックと2ボランチ間のスペースもケアされるようになった。前から勇敢にプレスに行ったり、粘り強くブロックとして戦える試合が増えてきている。

 中断前に最後のゲームだったバイエルン・ミュンヘン戦後に吉田もそのあたりに言及していた。

「希望がないサッカーとはちょっと変わってきたかなと。戦える時間が長くなってきたなと思います」

 バイエルンのキャプテンGKマヌエル・ノイアーも、古巣の復調ぶりを感じたようだ。

「良くなっているよね。シーズン序盤と比べたら、ここ最近3試合はいい試合をしている。まったく別の試合だ。選手はこれまでと違う感触を持っていると思う。僕もだし、シャルケファンも、2023年は自分たちの可能性を信じられるようになってきている。シーズン途中にはそれさえも信じられないような状況があった。ここ最近見せているようなパフォーマンスがこれからも出していけるようなら、例えば16位で入れ替え戦という可能性も十分出てくるはずだよ」

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。

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