まさかの苦戦…最下位シャルケが見出した希望とは? 対戦相手の名手ノイアーや吉田麻也が復調実感「ちょっと変わってきた」

吉田麻也が指摘「やっぱり粘り強く1点差で戦っていくのは大事」

 シャルケは15試合終了時で2勝、勝ち点9の18位だが、自動残留となる15位ヘルタ・ベルリンとの勝ち点差はわずかに5。残り試合数を考えると巻き返しはまだまだ十分に狙える。

 では、ここから勝ち点を積み重ねていくうえで大切なのことは何か?

「当たり前ですけど、失点しないことが大事です。この間のマインツもそうですけど、先に点取れるのは大きい。そこは大事に意識しなきゃいけない。でも、このスタジアムのこの雰囲気のなかで、1点返せればぐっと流れを引き寄せられる。ブンデスで戦ううえで、やっぱり粘り強く1点差で戦っていくのは大事だなと思います」(吉田)

 とはいえ、心配な要素もある。6試合行われたテストマッチで一度も勝てていない。負傷者が多く、ネガティブな報道も少なくない。さらに再開後の対戦はフランクフルト、ライプツィヒ、ケルン、ボルシアMGと難敵が続く。3連敗、4連敗スタートとなる可能性もないわけではない。

 だが、たとえ厳しい試合が続いても、先に失点することがあっても、そこで気持ちを切らさずに、チームとしての共通意識を持って全力で戦っていく。果たして長い準備期間にどこまでチームとしてのまとまりを作り上げることができたのか。U-23からトップチームへ昇格し、テストマッチでゴールを量産している上月壮一郎という22歳の新星MFもいる。

 苦しい状況だからこそ、失うものは何もないと吹っ切れて、野心あふれる若手選手のチャレンジャー精神をポジティブに活用して、大きなエネルギーを生み出したい。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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