国見のサッカーは「変わった」 丸刈り頭の撤廃だけではなかった…12年ぶり選手権での変貌ぶり

12年ぶりに全国高校サッカー選手権大会に戻ってきた国見の選手たち【写真:徳原隆元】
12年ぶりに全国高校サッカー選手権大会に戻ってきた国見の選手たち【写真:徳原隆元】

長崎の伝統校・国見高校、“改革”を施して選手権の舞台に帰還

 試合前、集合写真を撮影するために黄色と青色の縦縞のユニフォームを着た選手たちが2列に並ぶ。その時、カメラマンから声が漏れた。

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「なんか違和感あるよなー」
「そうなんだよ!」

 12年ぶりに全国高校サッカー選手権大会に戻ってきた国見イレブンを撮影しようとした時のことだ。国見からプロ入りした選手といえば、FW大久保嘉人やFW平山相太、MF三浦淳宏、DF徳永悠平など、名前を挙げていったらキリがない。高校時代の彼らに共通していたのは、黄色と青色の縦縞のユニフォーム、そして坊主頭だった。

 12月29日に迎えた北海(北海道)との1回戦、国見の選手たちに坊主頭は1人もいなかった。就任5年目の木藤健太監督は、現在J1北海道コンサドーレ札幌のFW中島大嘉が3年生だった3年前に、全員が丸刈りにする風習をやめようとしたという。だが、「選手たちに打診をしたんですけど、『国見は坊主なんで』ということで選手たちが坊主を継続することを選んだので、私も『そうなんだ』と。そういう経緯がありました」と、木藤監督は振り返った。

 そして代替わりして、当時の2年生が最上級生になり、サッカー部も髪の毛を自由に伸ばせるようになったという。

 変わったのは、見た目だけではない。練習内容も大きく変わった。国見といえば、片道5キロという「たぬき山」を走ることが有名だが、現在は車の往来も多く、安全面から選手たちは「たぬき山」には行っていないという。

 木藤監督は「12年っていう、干支が一周するくらい長い年月が過ぎて、『国見って昔、そういうチームがあったな』とみんなの記憶の片隅に行ってしまった。そこから時間を動かしたいという思いをずっと持ちながらやっていました。まず全国大会に出場できたことで、壁を1つ越えた。ただ、我々は通過点だと思っている」と話した。

 2010年度大会以来の全国大会に出場した国見は、やはり以前とは別のチームだった。ロングボールを入れて、前線の選手たちが圧倒的な迫力でゴリゴリとゴールに迫っていくよりも、丁寧にボールをつなぎながらスマートにゴールへ迫っていくことが多かった。前半39分の先制ゴールも、鮮やかに相手の守備を崩して最後はFW利根悠理がゴールネットを揺らした。

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