「ノイアーからゴールを決めるレベルはない」 ドイツ人記者&指導者が見た森保ジャパン、力不足に映る“前線の脅威”

「日本はペナルティーエリア間でサッカーをやっているようだ」

■クラウス・パプスト(プロ育成指導者)

「W杯の組み合わせが決まった時に『日本が相手だ。楽勝だな』というムードがドイツにはあったが、私は『何を言ってるんだ』と思ったよ。そんな簡単な試合になるはずがない。本気でドイツは気をつけないといけない。ロシアの時のような同じミスをしちゃいけないんだ。

(ハンジ・)フリック監督は最初の試合からチームにハイパフォーマンスを求めてくると思う。『今大会のドイツは危険だぞ!』というサインを見せようとしてくるはず。逆に考えると、そんなドイツの出鼻をくじくことができたら、日本にもグループリーグ突破のチャンスは出てくるということだ。日本がそう考えて、そのための準備をして、この試合を迎えられるかどうかだね。

 アジア予選を突破して、本戦出場を決めたあとにどこまでアップデートして、どんな戦術で戦うかを決意してきたのか。チームとしてのまとまりが確かに生まれて、戦術だけじゃなくあらゆることに対しベストな準備をして臨んだら、驚きをもたらせるクオリティーはあると思う。W杯は短期決戦だからね」

 一方で、ブンデスリーガのFCケルンで育成統括部長を務めたこともあるパプスト氏は、日本でサッカークリニックや指導者講習会を何度も開いたことがあるので、日本サッカーの成長ぶりをほかのドイツ人以上に見ており、「ドイツにとって脅威になる可能性だってある」と好意的に捉えている。

 ただ、そんな彼がよく指摘しているのは、「日本はペナルティーエリア間でサッカーをやっているようだ。サッカーはゴールを奪うスポーツだというのを忘れてはならないよ」という点。ペナルティーエリア内での局面で相手を凌駕できる瞬間を作れなければ、試合をものにすることはできない。そこがポイントなのは間違いない。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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