マジョルカの命運は? 1部残留を懸けた最終節、アギーレが久保に託し得るタスクは何か

ラージョ戦で途中出場となったMF久保建英【写真:Getty Images】
ラージョ戦で途中出場となったMF久保建英【写真:Getty Images】

【現地発コラム】自力での残留が懸かる最終節オサスナ戦を考察

 スペイン1部リーグのラ・リーガ第37節・ラージョ・バジェカーノ戦、マジョルカは後半アディショナルタイムにFWアブドン・プラッツが決勝ゴールを挙げ、土壇場で勝ち点3を獲得。18位カディスと勝ち点36で並んだが、直接対決(1勝1分)で上回り降格圏から脱出した。そして迎える最終節——。わずかなリードを守って1部残留を決めるのか、その可能性とMF久保建英が担う役割を考察する。

 マジョルカにとって、なにより大きいのは自力での残留を決められることだろう。ギリギリの戦いになれば他会場の動向が気になるもの。ベンチに途中経過を伺うというシーンは、この時期恒例となっている。もっとも、これには多くの場合危険がつきまとう。目の前の試合への集中力が切れたり、緊張感が高まりミスを誘発する恐れがあるからだ。

 このあたりはハビエル・アギーレ監督も自身の経験から得たポリシーがあり「他会場の途中経過は聞かないし、チームにも気にしないように言っている」という。また、験担ぎをしているのかと問われたメキシコ人指揮官はこちらも否定。以前のスーツ姿から最近になってジャージ姿にイメチェンしたことについても「ワイシャツを3枚しか持っていないから。クラブが準備してくれるし妻も楽じゃないかって言っていた」と、実用的な理由だとしている。

ラージョとの一戦では終了間際の決勝ゴールで劇的勝利【写真:島田徹】
ラージョとの一戦では終了間際の決勝ゴールで劇的勝利【写真:島田徹】

 マジョルカの最終戦の相手はオサスナ(アウェー)。降格回避の相手となるカディスは同じく敵地でのアラベス戦、勝ち点37のグラナダはホームでエスパニョールと対戦する。

 順当に行けば、残留争いをする3チームがいずれも勝つ展開が予想される。オサスナとエスパニョールは数週間前に1部残留を決め終戦状態。選手の意識はすでにバケーションに向いている。強いて言えば前節で2部降格が決まったアラベスがホーム最終戦で意地を見せる可能性はあるが、絶望状態からの気持ちの立て直し(切り替え)ができているのかが鍵だ。その点ではカディスも同様で、多くのチャンスを作りながらも勝ち切れなかったレアル・マドリード戦(1-1)から発奮できるかがシーズンの成否を決めることになりかねない。

 マジョルカにとっては、オサスナ戦で勝てば良いという分かりやすい展開になっている。ただ事はそう簡単には行かない。

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島田 徹

1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。

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