ファン・ハールの哲学が投影されないマンU 昨季の「モイーズ・フットボール」の再来か!?

消えたファン・ハールの哲学

 ただし、問題は攻撃面にもある。前半は2トップシステムを採用したがフィットせず。後半開始からフェライニを投入してシステムを4-1-4-1にシフトした。サイドからのクロスに頼る前マンU監督であるデイビット・モイーズ氏が得意とした「放り込みサッカー」を展開した。
 強引なパワープレーで決定機こそ増えたものの、ボールは中盤を経由する機会を減らし、クリエーティブな2人の長所を消した。スペイン代表MFフアン・マタは中盤で存在感を失い、アルゼンチン代表MFアルヘン・ディマリアは昨季のMFアシュリー・ヤングのようなクロスマシンと化した。
 この空洞化した中盤のスペースを有効活用するには、ピッチ中央で前を向き俊敏なプレーができる選手が必要である。マタがその役目を担っているのだが、この日は本来の動きが影を潜めた。そして、同じくそうしたプレーを得意とする日本代表の背番号「10」は、ボルシア・ドルトムントへと放出してしまった。
「私は、常にクリエーティブな選手のことを考えている監督だ。しかし、イングランドでは強靭なフィジカルを生かしたプレーが必要なんだ」
 そう口にしたファン・ハールだが、第8節を終えて勝ち点12に留まっており、これは昨季の第8節の時点での前モイーズ政権の勝ち点数をわずかに1上回る現状だ。
 オランダ人の名将は、試合内容、結果共に自らの「哲学」に反し始めた。ファンハール政権が「モイーズ・フットボール」と呼称されてしまう日も、そう遠くないのかもしれない。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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