復調の独2部デュッセルドルフ、新監督がアペルカンプ真大を信頼 期待される役割とは?

アペルカンプとガボリーの連係に監督は手ごたえ

 そんなティウーヌ監督の下で期待が懸かるのがアペルカンプだ。昨シーズンは負傷の影響もあって出場は21試合にとどまったが、それでも6ゴール2アシストはチームで5位の数字。今シーズンはチームの代表団にも選ばれている。DFアダム・ボジェック、DFアンドレ・ホフマン、ヘニングス、ソボトカというベテラン選手に交じり、生え抜き選手として、クラブの将来を担う存在として発言権を持っているのだ。

 第23節エルツゲビルゲ・アウエ戦(3-1)では、試合後にティウーヌ監督から「シンタはセンターへの動き出し、ポゼッション時のポジショニングが良かった。チーム全体の構造がうまくいっている。左サイドでシンタと左サイドバックのガボリーによるコンビネーションはいい感触だと思う」と一定の評価をされていた。本人もチームの新しい船出に手ごたえを感じていることを明かしている。

「試合にはすごくいい感じて入れた。チャンスもうまく作れていた。全体的なチームパフォーマンスは満足いくものだったと思う。今季初めての連勝だしね。これを続けていきたい。新監督は新しいエネルギーを注入してくれた。ピッチ上でインテンシティー高くプレーできていることからもそれが分かると思う。プレスも早い段階から仕掛けて、ペナルティーエリア内に多くの選手がいるからチャンスも増えていると思う。僕も自分のプレーをピッチ上でどんどん出していって、ゴールやアシストを重ねていきたい。もちろん一番大事なのはチームとして勝つこと」

 ただ、「オフェンシブな戦い方を選択すると、得てして守備で問題が」という不安が頭をよぎるものだ。インテンシティー高くプレーしているだけになおさら、終盤の失速に気をつけなければならない。アウエ戦でも一方的にゲームをコントロールしておきながら、後半30分過ぎから相手に反撃を許し、一時は点差を詰め寄られてしまったのは改善点だろう。そのあたりはアペルカンプも認めている。

「ちょっと焦ってしまったり、スピードを落としてしまったりという時間帯もあった。いい時間帯に追加点を決めたりというのも必要なのは確か」

 とはいえ、だ。やってもやっても勝てない時期をようやく乗り越えたのだから、欲張りすぎるのも良くない。ファンの喜びだって相当なものだ。好プレー1つ1つに声援が起こり、選手をサポート。アウエ戦でアペルカンプのスルーパスで抜け出したギンチェクが惜しいチャンスを掴むとファンからすかさず「フォルトゥナ」コール。記者席すぐ近くに座っているファンからは、「ナイスパス!」「きれいな展開だ!」とポジティブな声ばかりが聞こえてきた。

 第25節インゴルシュタット戦で3-0と勝利したことで勝ち点は30に。3部3位との入れ替え戦に回る16位ドレスデンとの勝ち点差を4へと広げた。「開始からエネルギーを感じさせてくれるプレーを披露してくれた。1対1の競り合いへの勢い、ゴール前でシュートまで持ち込む意欲など、結果も内容も全体的に良かった」とティヌーウ監督も満足げ。チームは着実にまとまってきている。ここからさらに貪欲に勝ち点を積み重ね、少しでも順位を上げてきたい。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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