このままじゃ終われない―― J3宮崎加入の工藤壮人、3年ぶりの日本復帰で描く“逆襲のシナリオ”

柏レイソル時代を超えるような輝きを放つべく、貪欲にゴールを狙う【写真:(C)TEGEVAJARO MIYAZAKI】
柏レイソル時代を超えるような輝きを放つべく、貪欲にゴールを狙う【写真:(C)TEGEVAJARO MIYAZAKI】

復活の狼煙を上げるべく、宮崎でゴール量産へ

 ストライカーはゴール数で評価される過酷なポジション。柏を離れた2016年以降に関して言えば、満足のいく結果は残せていない。工藤自身、「どうしてもレイソル時代の数字がクローズアップされて、それに比べたら物足りない」と真摯に受け止める。

「FWは記録・成績で判断されるポジションだと理解しています。結果が出せていないことで厳しい声もあるなかで、まだ期待をかけてくれる方に応えたいし、テゲバジャーロ宮崎さんも僕に賭けて獲得してくれた。レイソルでゴールを取り続けていた時に近づいていく、それを超えられると信じて戦っていこうと思います」

 2020年、山口を退団してオーストリア2部、ドイツ4部、チェコ2部、ポーランド2部のクラブの入団テストを転々として、帰国後には母校である日体大柏高サッカー部の練習にも参加した苦労がフォーカスされた。もっとも、工藤は中学時代にも柏アカデミーで一時ベンチ外を味わう日々を過ごしており、そこから這い上がってエースとなった“雑草魂”の持ち主だ。近年の状況は、そのメンタリティーを発揮する絶好のチャンスだと言っていい。

「今では笑い話ですけど、チームがなくて、ドイツの知り合いの方の家にいた時は、うどん屋さんの手伝いで湯切りをしていました。サッカー選手としての波で言うと、今はずっと下の方でくすぶっていて、正直、プロに入ってから思い描いていたサッカー人生ではない。必死にもがいてやっている感じです。でも、だからこそ、周囲にどう思われているとかは気にしていません。今は、テゲバジャーロ宮崎のためにどれだけ必死に身体を張って戦ったうえで、決勝点を含めてゴールを取れるか。より結果にこだわり続けて、気迫あふれるプレーをしたい。きっかけを掴んだ時に、ガッと上に行くイメージは持っています」

 まだ31歳。不屈の闘志を秘める工藤の“逆襲”が、ここから始まる。

[プロフィール]
工藤壮人(くどう・まさと)/1990年5月6日生まれ、東京都出身。柏U-12―柏U-15―柏U-18―柏レイソル―バンクーバー・ホワイトキャップス(米MLS)―サンフレッチェ広島―レノファ山口―ブリスベン・ロアー(オーストラリア)―宮崎。J1通算192試合60得点、J2通算54試合14得点、日本代表通算4試合2得点。素早い裏への抜け出しと、抜群のゴール嗅覚で得点を奪う生粋のストライカー。3年ぶりのJリーグ挑戦で復活を期す。

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