「久保対エメリ」は作られた対立構図 現地日本人ジャーナリストが抱いた“悪者扱い”への違和感

目標達成という点で、エメリ監督以上頼りになる監督はそれほどいない

 目標達成という点で言うと、エメリ監督は欧州トップクラスの監督だ。セビージャ時代にELで3連覇しているし、昨季も当初、目玉補強だった久保が思い描いていたような戦力にならないとみるや下部組織から若手を引き上げて戦力調整し、EL優勝とUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得という目標をクリアした。標榜するスタイルや会見、ベンチでの振る舞い方に好みが分かれたとしても、クラブにとってこれ以上頼りになる監督はそれほどいない。

 また、ビジャレアルにとっても久保はすでに過去の出来事になっているはずだ。そもそも補強というのは当たり外れがある。加入選手の半分が活躍すれば大満足だろう。報道ベースの情報だが、ビジャレアルは久保を迎え入れる際、年棒に加えレンタル料も払っているクラブだ。保有元であるレアル・マドリードにとっては上客だし、スペイン有数の富豪であるフェルナンド・ロッチ会長が結果的に見返りのなかった投資を悔やんでいるはずがない。

 久保にとっても「チーム第一」の観点から言えば成長を続けている。活躍しながらもマジョルカが降格した2019-20シーズンよりヘタフェで残留した昨季のほうが価値はあるし、ビジャレアルでのプレーも経験と考えれば長い目で見てプラスになる。

 ということで、あえて対立構図を作るとすれば、恨みを持っているマジョルカ側と、“金持ちケンカせず”のビジャレアル側の対決という側面がある。それはつまり、弱者と強者の顔合わせと言い換えることもできる。“弱者”側にいる久保が今回の対戦をどう捉え、どんなプレーをするのか。“悪者”がいなくても十分に楽しめる試合になるだろう。

(島田 徹 / Toru Shimada)

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島田 徹

1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。

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