2022年「日本サッカー界大展望」 W杯イヤーの“4大注目ポイント”を先取り解説

【注目ポイント3】女子サッカーの命運を握るなでしこジャパンの優勝なるか

【注目ポイント3】
「2年目のWEリーグ、なでしこジャパンの起爆剤は?」

 日本代表にとって年末のカタールW杯が大目標になるが、“なでしこジャパン”こと女子代表は1月20日に開幕するAFC女子アジアカップでの優勝を目指す。そこで5位以内に入れば来年オーストラリアとニュージーランドで共催となる女子W杯の出場権を獲得できるが、11年のW杯優勝を頂点として、なでしこジャパンの成績が下り坂になってきているのは気がかりなところだ。

 池田太監督は高い位置でボールを奪って縦に素早く攻めるスタイルを掲げるが、昨年の欧州遠征を見ても、組織的に機能している時間帯はいいものの、ピッチの幅を使った攻撃や個人の仕掛けで持っていかれてしまう。女子W杯は参加国が32に増えて、欧州からは最大12か国が参加する。東京五輪よりはるかに厳しくなることが予想される大会に向けて、どこまでレベルアップしていけるか。

 そして昨年9月にはWEリーグがスタートし、開幕戦こそ大々的な宣伝などで注目を集めたが、第10節時点で平均1715人と発表されており、目標とする5000人からは大きく下回っている。ただ、正直言って元々の下地を考えればこの数字も想定内とも言える。WEリーグは約3か月間のウィンターブレイクを挟む変則的な秋春制を採用しており、現在は事実上のオフに入っている。

 競技レベルの向上がベースになることは間違いないが、それはひとっ飛びにできることではない。いきなりコロナ禍でスタートする難しさもあったはずだが、ここからどうオンオフのPRやWEリーグならではの魅力を伝えていくか、何より女性や子供のファンサポーターを獲得していく努力が必要になってくる。

 いずれにしても男子以上に、女子サッカーの命運は代表チームが握っているところが大きい。代表強化の意味でも、熊谷紗希(ドイツ/バイエルン・ミュンヘン)や岩渕真奈(イングランド/アーセナル)、長谷川唯(イングランド/ウェストハム・ユナイテッド)のように、個人として強くなるために、海外に環境を求めるケースはもっと増えてきてほしいが、女子サッカーの両輪として“なでしこジャパン”とWEリーグがどう向上していくか注目したい。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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