三笘が才能証明…なぜ「生かしきれなかった」のか メキシコ戦出場16人を金田喜稔が採点

三笘、旗手、田中…“川崎トライアングル”のプレーを「もっと見たかった」

<途中出場>
■旗手怜央(川崎フロンターレ/DF/←ハーフタイムIN)=★★★

 後半開始時から左サイドハーフに入り、三笘投入後は一列下がった。複数のポジションをこなせるユーティリティー性が、森保監督に高く評価されているのは十分に理解できるし、非常にクレバーな選手であることは間違いない。ただ2点ビハインドの状況で、流れを変える一番手のアタッカーとして適任だったのか。旗手自身、左サイドハーフとしてプレーした時間帯に決定的な仕事はできなかった。大会を通じては、もっと三笘、田中との“川崎トライアングル”のプレーを見たかった。

■上田綺世(鹿島アントラーズ/FW/←後半17分IN)=★★★

 三笘と同時投入され、後半23分にスルーパスから抜け出した決定機は学生時代からプレーしてきたからこそのコンビネーション。だからこそ、あのシュートは決めてほしかった。負傷による出遅れがあり、先発したのがフランス戦のみと出場時間が限られていたこともあるが、得点源として期待されたストライカーがノーゴールで大会を終えたのは残念だった。

■三笘 薫(川崎フロンターレ/MF/←後半17分IN)=★★★★

 出場直後から別格の動きで対峙したメキシコDFを翻弄。短い出場時間のなかで何度もビッグチャンスを作り、得点シーンでのキックフェイントからの一連の流れは素晴らしかった。この試合の動きを見る限りコンディションに問題はなく、今さらながら、なぜ準決勝のスペイン戦でベンチ外だったのかとの思いはある。森保監督が信頼しきれない何かが三笘にあったのだろうし、そこは本人も真摯に受け止めてもらいたい。ただ、仮にコンディションに問題がなく、これだけ攻撃に違いを作れる選手を、大会を通じて生かしきれなかったのだとしたら、それは采配の問題だ。才能のある選手に、いかに汗をかかせるかは監督の役割。そしてこの日も同時投入された上田と絶妙な連係を見せていたが、攻撃面において監督に志向する戦術がないのであれば、旗手、田中との“川崎トライアングル”など、これまで築き上げてきた選手間のコンビネーションをもっと生かすような配置をすれば、効率の良い攻撃が展開できたようにも感じる。

■板倉 滉(マンチェスター・シティ/DF/←後半26分IN)=★★★★

 3点を追うチームが前がかりになる難しい時間帯にボランチとして投入され、相手のカウンターをケアする役割を担う。冨安不在時のセンターバックでのプレーを含めて、監督の意図を表現する駒として機能。今後W杯アジア最終予選を戦うA代表でも貴重な戦力になるはずだ。

■三好康児(アントワープ/MF/←後半35分IN)=評価なし

 1点を返した直後、さらに攻勢を仕掛けるために投入された。出場時間が短く、流れに乗れないまま試合を終えた印象だ。

[PROFILE]
金田喜稔(かねだ・のぶとし)

1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

(金田喜稔 / Nobutoshi Kaneda)



金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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