サッカー選手に多い「ふくらはぎの肉離れ」 専門家が解説、なぜ再発するのか

川崎フロンターレでプレーするMF大島僚太(写真は昨年のもの)【写真:高橋 学】
川崎フロンターレでプレーするMF大島僚太(写真は昨年のもの)【写真:高橋 学】

川崎MF大島僚太も苦しむ筋肉系のトラブル、専門家がメカニズムを解説

 川崎フロンターレのMF大島僚太は2月23日のトレーニング中に右腓腹筋の肉離れで、負傷日から全治12週間程度と発表された。Jリーグ屈指のゲームメーカーだが、これまでのキャリアでは筋肉系のトラブルに苦しんでいる。なぜ肉離れは再発するのか。元日本代表MF中村俊輔(横浜FC)の個人トレーナーを務める芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院の新盛淳司院長が、そのメカニズムを解説する。

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 ふくらはぎは肉離れした場合、再発するケースが多い箇所です。サッカーのみならず、テニス、バドミントンなどのスプリントを繰り返す必要の多い競技でも世界的に増加傾向にあります。

 ふくらはぎの肉離れは痛みが少ないケースも多く、痛みが少ないから軽傷と自己判断するのは危険です。必ずスポーツドクターの診察が必要です。まずは医師による、MRIなどの診察により損傷程度を評価し、損傷のパターンを推察する必要がありますが、ふくらはぎという箇所に関しては腱の損傷評価が難しい部分があります。肉離れが深部で起きていれば、見えにくかったり、薄い膜状の腱膜が広範囲に筋肉にはりついている箇所があることも重傷度の判定が困難な理由です。

 肉離れからどれくらいの期間で復帰できるかは、「腱」の損傷程度が重要になります。筋肉はゴムをイメージ、腱はヒモをイメージすると分かりやすいかもしれません。腱は筋肉とは素材が違い、硬くて、血流が少ないなどの理由から、腱の損傷は筋肉の損傷より治癒に時間がかかります。

 ふくらはぎの肉離れは、他の部位の肉離れと異なる部分があります。例えばハムストリング(もも裏)の肉離れはダッシュ時や踏ん張った際など、力を入れた際に負傷することが多いですが、ふくらはぎは軽いランニングやトンと足をついた際に負傷する場合があります。

 再発を繰り返すケースとしては、筋肉や腱の修復が不十分な場合、または機能(動き方)の改善の不十分さが理由として考えられます。

 筋肉や腱の修復が不十分な場合は、腱が修復する時期に過度に動かしすぎて、本来あるべき強度まで修復できなかったことが考えられます。肉離れの初期の評価をするのが難しいので、十分時間をかけて治すことが必要になります。当院では、特に最初の肉離れの際には、ドクターの復帰目処よりも時間をかけて治すことを選手に説明し、選択してもらうようにしています。我々チームトレーナーは、選手やチームからは早期復帰を求められますが、再発を繰り返す選手を多く見ている専門家として、選手が納得できるように対応しています。正しい選択が選手寿命を伸ばし、チーム力の向上につながると信じています。

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