元日本代表の“司令塔”が「衝撃を受けた選手」 2人の名手を選出「オーラが凄かった」
名波浩氏が現役時代に対戦して度肝を抜かれた選手を回想「ジダンは凄かった」
1990年代後半から2000年代前半にかけてジュビロ磐田の黄金期を支え、1998年フランス・ワールドカップ(W杯)に“10番”を背負って出場した元日本代表MF名波浩氏は、これまで数多くのビッグマッチに出場してきた。海外の名手とも対戦してきたが、華麗なキャリアのなかで「衝撃を受けた選手」について振り返ってもらうと、一時代を築いた2人のスーパースターの名前を挙げてくれた。(取材・文=Football ZONE web編集部・谷沢直也)
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日本代表として67試合に出場した名波氏は、1995年のAマッチデビュー以来、98年フランスW杯をはじめ強豪国とも対戦してきた。また1999-2000シーズンにはイタリアのヴェネツィアに移籍し、当時「世界最強リーグ」と言われていたセリエAに参戦。各国スーパースターと毎週のようにピッチ上で対峙してきたなか、「間違いなく衝撃を受けた」として真っ先に名前を挙げたのが、元フランス代表MFジネディーヌ・ジダンだった。
「4回対戦したんです。ユベントスと2回、フランス代表と2回やって一度も勝てなかった。とにかく凄かったな、と。サンドニ(2001年3月の国際親善試合/0-5)もそうですし、ヴェネツィアでのホームのユベントス戦にも0-4で負けるんですが、(アレッサンドロ・)デル・ピエロと(フィリッポ・)インザーギが2トップにいて自由に操っている感じでした」
1998年フランスW杯で母国を初の世界一に導き、同年のバロンドールも受賞したジダンは、名波氏が対戦した当時はまさに「世界最高の司令塔」として君臨していた。身長185センチ、体重80キロという中盤の選手としては恵まれた体躯を持つなかで、名波氏は「あの体のサイズでどれだけ動けるのだろう」と思っていたそうだが、ピッチ上で見たジダンは「攻撃時には特にハードワークをするし、あの大きな体で繊細なボールタッチもできた」という。
そして同じ“司令塔”として何よりも感銘を受けたのが、ジダンから放たれる圧倒的な“オーラ”だった。
「仲間の信頼が物凄かったですね。特にセンターバックやサイドバックの選手がボールを持ってパッとインサイドに顔を向けた時、だいたいみんなジダンを見ている。どうやってジダンにボールを経由しようかというルート探し。こうやってボールが集まるんだなと改めて思わせてくれた選手だったし、実際にボールを持った時のオーラというか、仲間の期待感を一身に受けている感じが凄かった。それは対戦相手である我々や、観客も含めたスタジアムにいる何万人も含めて、みんなが『ジダン、何するんだろう?』と見ているような、そんな華のある選手でした」