メッシは「今後30年出てこない」才能 元日本代表MFが絶賛する「最高のプレー」とは?

元日本代表MF香川真司【写真:Getty Images】
元日本代表MF香川真司【写真:Getty Images】

香川真司にも共通する絶妙な「足の“抜き方”」

 ボールを常に自らの体の近くに置きながら相手と対峙し、細かいタッチで揺さぶっていくメッシ。「ちょん、ちょん、ちょん、ちょんって細かくボールに触りながらドリブルしてくるから、ディフェンダーが飛び込もうとした瞬間にステップのリズムを変え、ボール1個分のスペースで相手のスライディングタックルから逃げられる」という。

 さらに名波氏によれば、メッシの真骨頂はここからだという。

「タックルをかわされたディフェンダーは、残り足で(攻撃側の)足を引っかけにくることがあるのですが、この時のメッシの足の“抜き方”が最高なんです。メッシってドリブルをして、倒れそうで倒れないことが多々ありますよね? あの残り足の抜き方が絶妙なんです。(ディエゴ・)マラドーナはけっこう残り足を残して、ファウルをもらうタイプでしたけど、逆にメッシはトップスピードに乗ったらなるべくファウルをもらわないように、足を抜いてそのまま抜けていくんです」

 小柄なメッシが軽やかに、飛び跳ねるようにして屈強な相手をかわしていく。時にファウル覚悟で止めにきても、それすらもかわして前進できるのは「天性の才能」だと名波氏は指摘するが、日本人でもこの“足の抜き方”が上手い選手がいるという。

「日本で言ったら、香川真司も抜き足が上手い。絶妙なんですよ。最後の最後でちょんとボールを1個分動かして抜いた後、相手が足を伸ばして引っかけにくる足をすっとかわす。これがもう最高。ドリブルで抜く時は一番気持ちいい」

 相手に倒されそうで倒れず、スルスルっと敵陣を切り裂いていくメッシや香川ら一流のアタッカーたち。「なかなか教えられるものではない」という天性の“足の抜き方”に注目してみたい。

[プロフィール]
名波浩/1972年11月28日生まれ、静岡県出身。順天堂大学を卒業後の95年にジュビロ磐田に加入し、左利きの司令塔として黄金期を迎えたチームの中心として活躍した。Jリーグ通算331試合34得点、Jリーグベストイレブンに4度選出。1999-2000シーズンにはセリエAのヴェネツィアでプレーした。日本代表としても国際Aマッチ67試合9得点の成績を残し、1998年フランスW杯には背番号10をつけて出場。2000年アジアカップではMVPを受賞し、日本の優勝に大きく貢献している。08年に現役引退。14年から19年まで磐田監督を務めた。

(FOOTBALL ZONE編集部・谷沢直也 / Naoya Tanizawa)



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