ミラン黄金期を築いた名将が解任劇の裏側を暴露 名物会長の”傀儡政権”に待ち受ける試練とは

ブロッキ新監督にとっては「複雑な状況」

 しかし、サッキ氏はブロッキ新監督に残された状況は簡単なものではないと強調している。それは、前任のミハイロビッチ監督が選手たちと良好な関係を築いていたことに起因するという。

「クラブは下部組織の指導を見て、ブロッキの指導者としての将来性を評価しているのだろう。しかし、彼にとっては複雑な状況でしかない。確かに、ポテンシャルを発揮できていない選手がいるのは事実だが、そもそもこのメンバーは彼が選んだものではない。ブロッキには状況に適応する能力が求められるが、時間はない。ミハイロビッチが選手たちと良い関係を作ってきたからこそ、ブロッキが選手たちの頭の中に入り込むのは簡単なことではないはずだ」

 その一方で、ブロッキ氏を監督に据えることは独断専行の目立つ名物会長が強引に推し進めたプランであり、アドリアーノ・ガリアーニCEOと対立しながら最後は強硬策に出たことも暴露している。

「ベルルスコーニは去年の段階ですでにブロッキを監督にしたがっていたが、ガリアーニが常に我慢を求めてきた。もし、ブロッキがこの状況を切り抜ければ会長の信頼度の高さを考えれば大きなアドバンテージになるだろうね」

 現場介入をライフワークとする名物会長の強力な後ろ盾のあるブロッキ新監督は、すでに12日のトレーニングで会長の偏愛する4-3-1-2システムの導入をテストしたとも伝えられている。下部組織から昇格となった新監督の背後には、糸を引く絶対権力者の影が色濃く浮かぶ。果たして、シーズン終盤戦でかつての名将も頭を抱えるミランには、どのような未来が待ち受けているのだろうか。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング