レガネスで目撃した柴崎岳の“閃き” 地元記者も期待「素晴らしい長所を備えている」
【スペイン発コラム】首位マジョルカ戦を現地取材、退場者を出す苦しい展開も奮闘
スペイン2部レガネスに所属する日本代表MF柴崎岳は、現地時間12日に開催されたリーグ第18節マジョルカ戦に臨んだ。4位レガネスが、開幕戦の敗戦以降、16試合連続で負けなしの首位マジョルカをホームに迎えた、前半戦の山場となる一戦だ。
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試合前、スタジアム内にあるレガネスのオフィシャルショップに立ち寄ると、ショップスタッフが「チームの中でもガクの人気は凄いよ。日本からもユニフォームの注文がよく入るしね」と笑顔で語りかけてきた。「ガクのほか、(ウナイ・)ブスティンサや(ホセ・)アルナイス、そして守護神の(イバン・)クエジャルのものが特に売れている。また水色のサードユニフォームは、新型コロナウイルスの対応にあたる医療従事者などすべての人々に対して、クラブが感謝を込めた特別なものだよ」とも説明してくれた。
キックオフ前の状況はレガネスが勝ち点32で4位。対するマジョルカは勝ち点38で首位。そのためレガネスが2部の優勝争いを継続するためには、勝利が必須となる。ホセ・ルイス・マルティ監督指揮下のチームで柴崎は2試合連続の先発出場を果たし、4-2-3-1のトップ下でプレーした。
キックオフ後、首位チームの寄せは速かったが、柴崎は攻守のつなぎ役として機能し、的確な判断でボールをダイレクトではたいてリズムを作り、守備では1トップのFWボルハ・バストンとともに前線から積極的にプレスをかけていた。
しかし前半39分にMFロベルト・イバニェスが2枚目のイエローカードをもらって退場になったことで、拮抗した展開が一転する。そして柴崎は、ポジションを右サイドハーフに変えてプレーすることになった。
数的不利の戦いを余儀なくされたレガネスが劣勢を強いられるなか、柴崎が後半16分に光るプレーを見せる。DFセルジ・パレンシアからのボールを、ダイレクトのヒールでゴール前に鮮やかなスルーパスを通した。しかし、そのボールに反応してDF裏に抜け出したMFルベン・パルドが、マジョルカGKマノロ・レイナを抜きにいくもキャッチされゴールに失敗。さらにその直後、FWアマト・エンディアイエに先制点を奪われた。レガネスはそれ以降、決定的チャンスを作ることができず、柴崎もサイドでの守備に追われて縦パスを入れることが難しく、打開策を見出せずに0-1で敗れた。
時折光るプレーを見せたものの、50分以上にわたって1人少ない状況でプレーし、チームとともに苦しんだ柴崎に対し、スペイン紙「マルカ」、「AS」の評価は1点(最高3点)と高いものではなかった。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。