レ-ヴの流儀-ドイツ代表最強時代へ

 

EURO2008、2010W杯南アフリカ大会、EURO2012と、全てのビッグイベントでベスト4以上を果たしているのは、だてではない。

 

 ヨアヒム・レーヴが監督に就任して以降、世界中から熱い視線を集める魅力的なチームへと、ドイツ代表は変貌を遂げた。 2000年にDFB(ドイツサッカー連盟)が行った、指導者および若手育成の改革。その恩恵を無視することは決してできないが、これほどまでにドラスティックな成長を見せている点に関して、やはりレーヴの手腕によるところが大きい。
 現役時代はブンデスリーガ2部が主戦場。フル代表選出経験もなし。 ドイツサッカー界きっての理論派ではあるが、カリスマ性という意味ではユルゲン・クリンスマン前監督に遠く及ばなかったレーヴは、選手とのコミュニケーションを最優先事項とし、信頼関係を地道に構築していくことを選択した。 また、心理トレーナーのハンス=ディーター・ヘアマンとも頻繁にコンタクトを取っては、彼から助言を仰ぎ、選手のタイプによってその会話術を巧みに使い分けてもいる。
 レーヴは言う。
「選手によっては、感情で訴えた方が良い場合と、理性的かつ合理的な話をした方が良い場合がある。例えばルーカス・ポドルスキは非常に繊細な選手だ。 それ故、感情に訴えかけるように話した方が良い。マリオ・ゲッツェやメスト・エジルもそうだ。攻撃の選手には感情での会話を用いた方が良い場合が多く、逆にディフェンスの選手には、より緻密で合理的な説明の方が良いケースがほとんどだ」
 試合中に無断で帰宅したケヴィン・クラニーのように、規律を乱す選手に対しては「二度と代表には呼ばない」と冷徹に振る舞うが、協調性を持ち組織を重んじる人間に対しては、徹底的に擁護し、自身が矢面に立つのもレーヴ流だ。

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