横浜FM、前線の“ブラジル人トリオ”が躍動 システム変更で競争激化、昨季MVPの起用法は?

熾烈な前線のポジション争い、負傷から復帰する仲川をどう組み込むか

 また、右ウイングバックの位置から鋭いクロスを供給しているMF水沼宏太も、システム変更によって存在感を増している1人。元々精度の高いクロスに定評のあった水沼だが、横浜FMのウイングを務めるにはスピードと局面打開能力に物足りなさもあった。

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 それがウイングバックにポジションを変えたことで、高いクロス精度はそのままに起点となる球出しでも得点に絡んでいる。一般的にはコンバートの印象が強い起用法でも、ポゼッションで優位に立てる場合が多い現行のスタイルにおいては、この位置が水沼のベストポジションかもしれない。

 仙台戦では序盤に先制を許したが、ブラジル人トリオのゴール&アシストであっさりと逆転に成功。そしてゲーム終盤、交代でピッチに登場したのが昨季11得点のFWエジガル・ジュニオ、大分トリニータで10得点を挙げたFWオナイウ阿道、そして東京五輪世代のストライカーで圧倒的なスプリント能力を武器に持つFW前田大然の3選手なのは贅沢の極み。疲労がピークに達する終盤にフレッシュで能力の高いアタッカーが続々と投入されるのだから、相手にしてみたらひとたまりもない。

 次なる課題は、もうすぐ負傷から復帰する昨季MVP&得点王のFW仲川輝人をいかにチームに組み込むか。順当ならばシャドーの一角をエリキと争うことになるが、ポジションを争う仲間が目に見える結果を残しているだけに、仲川にかかるプレッシャーも相当なものになるだろう。

 今季ここまで2得点と思うように結果を出せず、度重なる負傷にも苦しむ背番号23は、チームのさらなる浮上に必要不可欠。しばらくはトリコロールの前線から目が離せそうにない。

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藤井雅彦

ふじい・まさひこ/1983年生まれ、神奈川県出身。日本ジャーナリスト専門学校在学中からボランティア形式でサッカー業界に携わり、卒業後にフリーランスとして活動開始。サッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊号から寄稿し、ドイツW杯取材を経て2006年から横浜F・マリノス担当に。12年からはウェブマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』(https://www.targma.jp/yokohama-ex/)の責任編集として密着取材を続けている。著書に『横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史』、構成に『中村俊輔式 サッカー観戦術』『サッカー・J2論/松井大輔』『ゴールへの道は自分自身で切り拓くものだ/山瀬功治』(発行はすべてワニブックス)がある。

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