三冠王手のバイエルン、「29戦無敗」に潜む落とし穴 CL準決勝で見えた問題点とは?

守備面の修正に向けたフリック監督の起用法に注目

 守備における問題はSBだけではない。ボールロストからのカウンター時に守備ライン前にぽっかりスペースが空いてしまう。ここは空けてしまうと非常に危険だ。あらかじめ誰かを配備しておくのか、誰がどこまで戻るのかを徹底しないと守り切れない。

 安定感を取るために、右SBに怪我の癒えたベンジャマン・パバールを配置し、ボランチにキミッヒを回すのか。チアゴは起用するのか、するならどこでどのように起用するのか。チアゴをトップ下に置き、ミュラーをサイドにするのもなくはない。いずれにしても、チームとしてポゼッションをしている時に各選手のポジショニングでボールロスト時への準備ができていなければならない。

 8月に入ってから行われたチェルシー、バルセロナ、リヨンとの3試合で15得点という攻撃力は今大会屈指。いつでもゴールを決められるという自信はあるだろう。だが、決勝戦という舞台でその攻撃が空転し、なかなかゴールが生まれないという展開になると、そのままズルズルいってしまうこともあり得る。

 決勝はフランスの強豪パリ・サンジェルマンとの一発勝負の試合だけに、攻撃的なプレスで押し切るだけではなく、時間帯や状況に応じて守備を固めることも間違いなく必要になる。そのあたりのバランスをどのようにピッチで実践させるのか。フリック監督の手腕に注目が集まるところだ。

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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