原口元気がドイツで得た“楽しさ” 新加入FWと価値観を共有「サッカーを分かっている」

相手のボールを奪いに行く原口【写真:Getty Images】
相手のボールを奪いに行く原口【写真:Getty Images】

グイデッティを信頼 「チームのために勇気を持ってプレーしていることを評価してくれる」

 そして守備だけではなく、攻撃でも勢い任せ、偶然任せではなく、狙いのある動きが少しずつ見えてきているのが、ポジティブな点だろう。

 例えば、ニュルンベルク戦の2点目の場面だ。左サイドで後方からパスを受けた原口がダイレクトでスウェーデン代表FWヨン・グイデッティにつないだところが起点となった。MFリントン・マイナが豪快な左足シュートでゴールを決めた後、グイデッティは親指を立てて、原口に「ナイスパス」というジェスチャー。得点やアシストという数字が付くわけではないが、チームにおいて大事なプレーをしっかりと評価してくれる仲間がいることは大切だ。

 意図的にこうしたプレーを共有できるチームメートが冬の移籍市場で加入したことは、チームにとってとても大きいと原口も見ている。

「彼はスペインでやっていたりとか、フットボールをしたがる選手なので、際どいところで受けたりとか、チームのために勇気を持ってプレーしていることをすごく評価してくれる。彼自身もそれをやっているし、ああいう選手が入ってきたのは大きい。サッカーを分かっているし、ただ頑張るだけじゃなく、どうやったらチームが上手く回るのかって。さすが、いろんな経験がある選手だなと」

 今季はボランチをやったり、トップ下をやったりとプレーの幅を広げている原口だが、この日は本職の左サイドハーフでフル出場を果たし、「さすがに慣れているポジションだから、やりやすさは……」と笑う。ただ今後も同様のフォーメーション、組み合わせでやっていくかはまだ分からない。ケナン・コチャク監督は対戦相手を研究し、自分たちの戦い方に試合ごとのアレンジを加えている。そうした日常を、原口はとてもポジティブに捉えている。

「毎試合ポジションが変わるなかで、その都度毎週しっかり準備をしていって、やっぱり難しさを感じてはいるけど、その反面、楽しさみたいなのも感じていて。やっとチームも、なんていうんだろう、ちょっと勝てるようになってきたから」

 ハノーファーはここから、2部の下位に沈む相手との対戦が続く。どこも生き残りを懸けて、必死に体を張ってくるだろう。残留争いをしているチームと戦うのは簡単ではないが、だからとハノーファーも勝ち点を確実に獲得していかなければならない。チームとしてのまとまりが結果に結びついてきているだけに、攻守に計算できる原口を中心に、さらなる連勝を実現したいところだ。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)


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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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