南野の“後継者”、踏み出した一歩と悔しさ ザルツブルク奥川雅也の“背中を追う”挑戦

5年弱かけて今のレベルに辿り着いた南野、奥川はスタートラインに立ったばかり

 試合後の南野は、淡々とした様子で試合を振り返っていた。

「良い相手と対戦できて、すごく良い経験になった。課題が見えたのでそこをしっかりやっていければ……。イージーミスも多かったし。やっぱり、しっかりボールをつないで前に運べる、シュートまで持ち込めるぐらいにならないと、たぶんやっていけない。そういうところをしっかり意識していきたい」

 欧州トップレベルと対戦したことで見えた景色を忘れずに、自分と向き合い続けて、あの日から5年弱かけて今のレベルに辿り着いた。あの試合があるから、今の南野がある。そして奥川は今まさに、その入り口に立っているはずだ。

 ザルツブルクはオーストリア・ブンデスリーガで現在、LASKリンツに勝ち点5差をつけられ2位に甘んじている。6連覇中の王者として、このまま終わるわけにはいかない。ELの戦いが終わった今、ここからはリーグに集中して、気持ちを再度高めていかなければならない。ポジション争いも激しくなってくるだろう。そのなかで奥川はどんなプレーで、どんな活躍を見せ、チームを再び上昇気流に乗せることができるだろうか。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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