619日に及ぶ苦難を乗り越えた「リバプールのカフー」 帰還を出迎えた英雄たちの言葉

18ヵ月の負傷離脱から復帰したフラナガン

 619日。その途方もなく長い期間、ピッチに立てずにいた一人の若きプレイヤーがいた。ジョン・フラナガン。圧倒的なスタミナを誇り、絶え間なく上下に走り回ることから「リバプールのカフー」と名付けられたサイドバックだ。

 リバプールの下部組織で育ったフラナガン少年は、2010-11シーズンに18歳という若さでトップチームデビュー。ブレンダン・ロジャース前監督の下で信頼を勝ち取り、13-14シーズンは主力としてプレミア初の優勝まであと一歩と迫った。イングランド代表にも招集され、順風満帆なキャリアを歩んでいた。

 しかし、14-15シーズンの開幕直前、左ひざの負傷により長期離脱を強いられた。その後、練習に復帰するも再発の繰り返しで、ピッチに立てない月日が無情にも過ぎ去っていた。その間、エースのルイス・スアレスがバルセロナへと移籍。主将のスティーブン・ジェラードもリバプールを去り、ロジャース監督も退任することとなった。大きく変動するチームを、フラナガンはただただピッチの外から見守るしかなかった。しかし、腐らずリハビリに打ち込んだ。

 今季途中から就任したユルゲン・クロップ監督は、相次ぐ負傷離脱者に苦しめられており、主力、サブ組ともにメンバーが不足する危機に直面している。その状況の中、フラナガンが今月上旬に全体練習への復帰を果たした。

 そして迎えた今月20日のFA杯3回戦再試合。ベンチメンバーに入ったフラナガンは後半5分、クロップ監督に声を掛けられると、ユニホームに袖を通し、ピッチのタッチライン際に立った。すると、本拠地アンフィールドの観客たちは一斉にスタンディングオベーションでスタジアムを沸かした。18ヵ月振りにピッチに立つ若武者の帰還を、最上級の喝采で出迎えた。

 

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