トルシエが選ぶ森保ジャパン「理想の11人」 上田綺世ではなく…期待する“時の人”「全く読めない」

トルシエ氏が語る日本人監督と外国人監督の違い
2002年日韓ワールドカップ(W杯)で日本代表を率いたフィリップ・トルシエ氏が、FOOTBALL ZONEのインタビューに応じた。10月から11月にかけて来日し、森保一監督率いる日本代表の試合を視察。来年の北中米ワールドカップの展望、そしてトルシエ氏が選ぶ理想の11人を語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部/全4回の4回目)
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森保ジャパンはW杯の組み分け抽選会で、グループFでオランダ、チュニジア、欧州プレーオフBの勝者(ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニア)と対戦することになった。決勝トーナメント1回戦ではブラジルやモロッコらと対戦する可能性がある厳しいグループ分けとなったが、史上初のベスト8へ進出する可能性はあるのだろうか。
「結局、名前の通り、W杯ベスト8という壁がどれぐらい高いのかというのは、単純に考えた時に分かると思います。『今、日本の実力が世界トップ8に入っているか』と聞かれたら、ほとんどの人は違うと答えると思います。『来年チャンスがないのか?』と聞かれても悲観するかもしれませんが、リーグ戦ではなく、カップ戦なので未知の部分が多い。ベスト16には十分に入れる余地があるとして、そこは過去の決勝トーナメントを振り返ってみると、ベルギーのような強豪と対戦した時もあれば、明らかに格下と思えるパラグアイのような対戦相手もいた。どちらも得意ではなかった。だから逆に言えば、あまりそこを気にせずに、小さな努力や小さなディテールを詰めていくしかないと思います。結局それが経験となり、最終的には運が絶対必要になると思います。その中で準備ができているのかどうかが重要で、その結果が悔いが残るか否かになると思います」
そこで注目されるのが、森保一監督のマネジメント力。これまでに何度も対談するなど、森保監督を高く評価してきた。外国人監督として日本代表を率いたトルシエ氏は、日本人指揮官が母国を率いる意味について語った。
「日本のメディアが外国人監督、日本人監督のディベートをする時は主に的外れだと思う。監督の才能、経験云々だけでなく、サッカー協会が日本人監督にするメッセージは、国際的にチームを率いたことがない森保監督を選ぶことによって、一番は責任は選手にあるということだと思います。有名な外国人監督がいると、監督の魔法で全てが決まると思い、選手たちが監督頼りになってしまい、日本社会特有の責任逃れになってしまう。その場合、監督をスケープゴートにできるけど、今回は逃げ道がない。森保監督はやるべきことはやっている。勝ちか負けかはほぼ選手の責任だと思います。森保監督はむしろ選手たちにはっきりとした責任感を植え付けた上で、過保護にせずにある程度のハーモニーを与えていると思います」
森保監督はこれまで「2チーム、3チーム分の戦力を作りたい」と多くの選手を起用してきた。カタールW杯後の第2期だけでも88人を招集し、底上げを図ってきた。中心選手に頼ることなく、誰が出てもチーム力が落ちない選手層の厚さは、森保ジャパンの武器となっている。もし、トルシエ氏が今の森保ジャパンを率いた場合、先発11人に誰を送り込むのか。
「ベストメンバーかは分かりませんが、私が今でも一番好きな3-4-3という戦術の中で選びましょう。3バックは(左から)伊藤洋輝、板倉滉、谷口彰悟。ウイングバックは右に伊東純也、左は三笘薫、ボランチは遠藤航と佐野海舟。シャドーは久保建英と南野拓実。FWは……前田だ」
1トップに前田を選ぶなど前線からのプレッシングを重視するトルシエ氏らしい人選だが、コアメンバーは森保監督と大きく変わらないと話す。その上で、自身が率いていた日韓W杯で2得点を挙げた稲本潤一氏のような“時の人”の出現を期待した。
「遠藤選手のバックアップは守田英正選手だったり、DFのバックアップには渡辺剛選手、三笘選手の代わりには中村敬斗選手がいたり、伊東選手のバックアップには堂安律選手がいたり、鎌田大地選手や上田綺世選手たちもいる。色々なオプションがあるが、26人のうち15人がコアメンバーということは、私でも森保監督でも同じだと思います。そして15人から11人に絞った時、サプライズ要素というよりも、その時の調子とあとは監督が現場のフィーリングで選ぶことになる。誰かは絶対ヒーローになったり、時の人になったりしますからね。そこは私たちでも全く読めないし、そういう存在の出現を期待しています」




















