「お前、上手いな」 選手権8強で敗れた昌平、2年生“10番”が青森山田主将にかけられた言葉

哲学を貫くも王者の牙城を崩せず 藤島監督「黒田先生は日本一の勝負師」

 1年生のMF篠田大輝は3回戦の後半途中で起用され、豪快な決勝点を決めた。藤島監督は後半25分に、今大会初出場のFW山内太陽を投入。「練習への真面目な取り組みを買った」というのが理由だ。その山内が同35分にMF鎌田大夢のスルーパスに抜け出し、詰めてきたGKをかわして2点目を流し込んだのだ。「ゴール前で焦って外すこともあるけど、時間がゆっくり動いているようで落ち着いて決められました」と喜んだ価値ある得点で、昌平はとうとう1点差まで詰め寄った。

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 しかし、この後はアディショナルタイムも含めて残り8分あったが、百戦錬磨の青森山田を慌てさせる場面は作れず、3度目の選手権が終わった。

 藤島監督は07年から4年間、敵将・黒田剛監督とともにコーチとして青森山田を指導した。「私は黒田先生が日本一の勝負師だと思っています」と敬慕し、「力強さ、対人の強さ、前への推進力が青森山田にはあった。ウチはボールを動かす時間はあったが、もっと質を高めないと日本一にはなれませんね」と言った。この敗戦が指揮官に、さらなる闘志をたぎらせたようだ。

 今大会無得点だった2年生の小見が悔しさをにじませながら「シュートの精度を上げたい」と言えば、須藤も「相手には風格を感じたが、次の大会では自分たちが歴史を塗り替えられるように強くなりたい」と決意を示した。埼玉の高校サッカー復興へ向け、昌平の挑戦は始まったばかりだ。

(河野 正 / Tadashi Kawano)

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河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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