「自分たちのサッカー」を貫くのは正解か 長谷部と鎌田が直面、“持たされる”苦しさ
【ドイツ発コラム】ケルンに痛恨の逆転負けで6戦未勝利、フランクフルトで高まる危機感
フランクフルトらしいサッカーを貫くことは、果たして正解なのだろうか。
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18日に行われたブンデスリーガ第16節、下位に低迷するケルンをホームに迎えた一戦で、フランクフルトは前半に2点を先行しながら後半一気に失速し、2-4と逆転負けを喫した。勝ち点を計算していた相手に負けただけに、失望は大きい。だが負けても仕方がないくらい、外から見てはっきり分かるほどに足が止まり、中盤にはぽっかりとスペースが空き、ケルン選手に生き生きとプレーをさせてしまっていたのが現実だ。
ケルン戦後のミックスゾーンで、日本代表MF鎌田大地もその点を指摘する。
「みんなやろうとはしてますけど、身体が動いてないというのは明らかだし。2-0となった時に上手くセーブしながらやれば良かったかもしれないですけど、僕たちはそれでも前に前にと行って、間延びして、なかなか難しい」
11月2日の第10節で、バイエルンに5-1で快勝してからリーグ戦で6試合勝ちがない(1分5敗)。過密日程、疲労の蓄積、主力の負傷……。様々な理由があるが、既存のメンバーとやろうとしているサッカーとの間に、無理が生じているのではないだろうか。
今季もフランクフルトらしい、パワフルでダイナミックでスピーディーなサッカーを志向し続ける一方で、去年とはメンバーも変わり、これまでとは異なる特色を持った選手も集まっている。そうした選手の特長を出し合えるサッカーへの移行ができずに苦しんでいる。
鎌田は、正直な心境を口にしていた。
「シーズンが始まった当初は悪くなかったと思う。メンバーは変わって去年とは違うけど、根本的には変わらずにサッカーができていました。ただ今日も2-0から2-1になった瞬間に、精神的にちょっとヤバいかなと思いましたし。完全に走れてないというか、プレスもウチらしく激しくいけてないし、ダラダラ行くようになって相手にやりたいようにやられて。チームのやりたいことが、僕たち選手ができていない。やろうとしてますけど、体力的な部分で動けてなくて。これだけ試合数が多いなかで、ウチのサッカーをやるというのはなかなか難しいと思う」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。