「もっと動け!」 長谷部誠が攻撃陣を叱咤、払拭されない停滞感の理由とは?
【ドイツ発コラム】ヘルタと2-2ドローのフランクフルト、またも流れのなかからゴール奪えず
フランクフルトが流れのなかでゴールを奪えないでいる。
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現地時間11月28日のUEFAヨーロッパリーグ(EL)グループステージ第5節アーセナル戦では、日本代表MF鎌田大地が素晴らしいゴールを挙げたが、ブンデスリーガでは第11節フライブルク戦(0-1)、第12節ヴォルフスブルク戦(0-2)とそれぞれ無得点、第13節マインツ戦(1-2)、そして12月6日に行われた第14節ヘルタ・ベルリン戦(2-2)で挙げた得点は、どれもCKから生まれたもの。セットプレーが武器というのは、決して悪いことではない。拮抗した試合で貴重な得点源となるものを持っているのは、間違いなくチームとしての一つの強みだ。ただ、セットプレーからしか点が取れないようだと、コンスタントに結果を残していくのは難しい。
その点に関してアディ・ヒュッター監督は、FWゴンサロ・パシエンシアとFWアンドレ・シウバの2トップの動きを例に挙げ、「前線の動きが良くない。2人が同じようなポジションにただいるだけでは相手にとって怖くない」とヘルタ戦後に言及。攻撃パターンが少なければ、相手も守備対応はしやすい。本来大きな武器になるはずの左サイドでプレーするMFフィリップ・コスティッチからの突破も、ヘルタ戦では引っかかることが多かった。
元日本代表MF長谷部誠も、そのあたりを試合後に指摘していた。
「攻撃の部分では、やはりウチの左サイドは武器ではあるんですけど、相手もそこは間違いなく研究してきている。今日なんかも、途中からは2人で、相手もあそこは厚みをもって守備をしていた。そうなった時に、自分たちがもっと攻撃のバリエーションを持たないと厳しいと思う。左だけじゃなくて右、あとは真ん中のコンビネーションによる崩しとか。最近は(攻撃の)ハーモニーがないっていう風に言われているんですけど、実際そのとおりで、もう少し前のところでコンビネーションができてくれば、いいなとは思っているんです」
ヘルタは、前線から激しくプレッシャーをかけてきたわけではない。3バックのセンターでプレーする長谷部の両脇では、常にDFアルマミ・トゥーレかDFマルティン・ヒンターエッガーがフリーで空いていることが多かった。ただ、そこから上手く前にボールを運べない。相手はそこにパスが出てくることを想定した守備をしているのに、正直にそのサイドから攻撃をしてしまえば、どうしたって詰まってしまう。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。