なぜ2人の日本人女子はスペインへ? 両国の“違い”を指摘「チャレンジしたかった」

カタルーニャダービーを戦った2人、なでしこジャパンへの意識は?

 近年、その差は埋まりつつあるとはいえ、日本ではクラブチーム以上にまだ日本代表の人気が高い。男子の日本代表では、選手の大半は海外組になっているが、女子は少し状況が違うようだ。

 桑原は「自分はなでしこジャパンにも全然、入ったことがありませんし、(欧州に来たから代表を目指すとは)考えていないです。本当に無名の無名なので……。もう26歳ですし、『代表は?』って聞かれるとも思わなかったです」と苦笑した。

 なでしこジャパン招集歴がある羽座は、ある難しさを指摘した。「スペインリーグは放送があるわけでもありませんし、どうしても見られるのが難しいんです。だから、それ(代表入り)よりも自分のレベルアップを優先に考えています。技術とかをアップさせて、日本に帰って、そこで呼ばれることがあればという感じです。ここで活躍して代表に選ばれるというより、レベルアップして将来的に……という感じですね」と、自身のビジョンを明かしてくれた。

 日本では東海女子サッカーリーグで活躍していた桑原は、「最近は点を取れているけど、そんなに調子がいいわけではない」と自身のコンディションを説明した。それでも、彼女の技術はピッチ上で光っていた。実際にスペイン2部リーグのレベルをどう感じているかという質問に、2人は「決して日本が劣っているわけではない」としつつも、ある違いを感じ取っているという。

「技術なら、日本のほうが高いと思います。でも、トータルで見ると『どうなのかな?』と感じることはありますね。ただ、勝ちにこだわってみんなが戦うので、もしかしたらスペインのほうがサッカーとしては強いかもしれないなとは感じます。こっちはとにかくゴールに向かいますし、点もよく入りますよ」(桑原)

「強さがあったり、勝つためにサッカーをしているのはすごく感じます。日本では、ちょっときれいになって、最終的にはゴールが目標なのにそれがブレてしまうことがありました。1部になると、さらに技術も上がってくるので、レベルは高いと思います」(羽座)

 2人の言葉を聞いて、スタンドと一体になった試合終盤の熱い攻防を思い出す。ダービーということもあっただろうが、リーグ戦の1試合でも勝利を強く追い求める熱は、日本から来た記者にとっても新鮮だった。

 最後に、それぞれのサッカー選手としての目標を聞いた。

 なでしこジャパン入り同様に、1部リーグへ行くことも「あまり考えていない」という桑原は、「まだスペインに来て4カ月で、少し慣れてきたところです。言葉の壁というか、コミュニケーションで壁はありますが、それに慣れていきたいです。『日本でやっていた時はのびのびとしていたな』とすごく思うのですが、今は気を遣っている感じがするので、楽しく自分のプレーが出せるようになれたらなと思います」と言い、「1部リーグに行くことは、あまり考えていません。でも、プロでやりたいなとは思っています」と、付け加えた。

 羽座は「私のチームは、めっちゃ良い人が多くて、すごく受け入れてくれました。それに甘えるのではなく、チームに慣れて貢献することは目標の一つです。そして来年は1部でプレーしたいと思っています。チームとしても昇格が狙える状況ですし、今年1年でスペインに慣れて、来年は1部で問題なくプレーできる選手になっていきたいと思います」と、成長を誓った。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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