中島翔哉への“激怒”事件と日本の才能の行く末 “未完”の欧州移籍がはらむ「使い捨てリスク」

ポルトMF中島翔哉【写真:Getty Images】
ポルトMF中島翔哉【写真:Getty Images】

中島の怠慢な守備にポルト監督が激怒、現地メディアで大きな話題に…

 日本代表MF中島翔哉が、所属するポルトのセルジオ・コンセイソン監督に怒られたらしい。現地時間15日のポルティモネンセ戦(3-2)で交代出場した中島の守備に不満があったようだ。他にもいくつか原因はあったみたいだが、根本的には守備の怠慢が怒りにつながったと思われる。

 監督が選手を怒鳴りつける、年長の中心選手が若手を叱咤するというのは、サッカーでは特に珍しいことではない。あんまり大っぴらには言えないが、トレーニング中につかみ合いになったり殴ったりということもある。日常的にではないにしろ、世界のどこかで今日もそういうことは起きているはずだ。

 セルジオ・コンセイソンは厳格で男気もありそうな監督だ。言うべきことはハッキリ伝えるだろうが、根に持つことはなさそうに見える。実際、その一件から数日後には監督と中島が仲良くやっている写真も公開されていた。これで一件落着なのだろうが、ちょっと別に気になることがある。

 まず、中島の行く末だ。

 ポルトでは、守備のできないアタッカーはたぶん起用されない。現在のポルトガル国内リーグはベンフィカとの実質2強なので、中島の守備力は通常そんなに問題にはならない。監督が怒ったポルティモネンセ戦も、なんとか3-2で勝っている。

 ただ、ポルトは国内リーグ優勝のみを狙っているクラブではない。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)やUEFAヨーロッパリーグ(EL)の上位進出、あわよくば優勝を狙っている。そうなると、国内の格下とは違う強力な相手とも戦わなければならない。当然、守備に穴のある選手は使いにくくなるわけだ。もともとポルトは、質実剛健なスタイルでもある。

 中島がヨーロッパでのステップアップを狙っているなら、ポルトは理想的なクラブだ。過去に何人もの逸材を送り出してきた。リカルド・カルバーリョ、ペペ、チアゴ・シウバ、ダニーロ、デコ、ラウール・メイレレス、ハメス・ロドリゲス、カゼミーロ、ラダメル・ファルカオなどが、ポルトで活躍してさらなるビッグクラブへと移籍している。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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