果たしてブラジルW杯の“正確”な検証はなされたのか 決勝に進出した2か国が見せたサッカーの真実と日本が進むべき道

前線の流動性と後方のバランスのいいポジショニングが際立ったドイツ

 イラストを見てほしい。

 この図は決勝戦における両チームの選手たちの平均プレーポジションで、全てのプレー位置をプロットし、その平均のポジションを示したものだ。試合における最も多いプレーはパス。従ってこのイラストはボールポゼッションで圧倒していたドイツにとってはマイボール時のポジションが、アルゼンチンにとってはそれに対応した守備的なポジションが反映されているとみていい。

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  ドイツの前線の選手の動きは流動的だ。右サイドをスタートポジションとしたミュラーはストライカーとしての動きが得意で中央でプレーする機会が多い。ミュラーが明けたスペースにラームがオーバーラップし、その動きをサポートする選手が寄ってくる。左サイドのエジルもマイボール時は積極的にボールに関わるタイプだ。エジルが動いたことによるスペースが相手に使われてしまうことがないようにクロースがバランスを取っている。

 一方アルゼンチンのポジショニングを見ると左にポッカリとスペースが空いている。ドイツの右サイドで人が多く集まっている場所と重なっていることから判断して、このエリアで作られてしまい、それに対して対応が出来なかったということだろう。

 この大会の他の試合を見ても言えることだが、前線の流動性ある動きと後方のバランスの取れたポジショニングがドイツの本来の強みだ。相手にボールを奪われると、奪われた位置に近い選手が縦のボールを蹴らせない。最終ラインとボランチの選手たちの共同作業で中盤のエリアにスペースを与えない。出しどころがなく後方でパスを回さざるを得ない状況となっている間に動き回っていた前線の選手が本来のポジションに戻ってくる。万が一高いディフェンスラインの裏にボールを蹴られた場合でも最終ラインの裏に、そのエリアをカバーしてくれるもう1枚のディフェンダー、ノイアーがいる。

 

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