元Jリーグ外国人監督が語った「日本人選手の評価」 称賛した姿勢、物足りなさを感じた点は?

フィンケ氏の下でコーチを務めていたモラス雅輝氏【写真:中野吉之伴】
フィンケ氏の下でコーチを務めていたモラス雅輝氏【写真:中野吉之伴】

日本のウォーミングアップ風景での興味深い指摘

 試合中の一局面の、そこでしか使えないものばかりをトレーニングするのではなく、数ある選択肢の中から正しい選択をしていく。そのためにはまずどんな選択肢があるかを知り、それに対してどんなアプローチをするかをトレーニングしていく必要がある。試合では刻一刻と状況が変わるピッチの中で必要な情報を仕入れて、理解して、決断して、実行に移すという4つの段階にトライし続けることが求められるわけだ。

「認知」に関するトレーニングは欧米ではここ数年で非常に発展し、広がりを見せている。トップレベルのプロクラブ育成機関だけではなく、グラスルーツのトレーニング現場にも当たり前のように「認知」を伴う練習メニューが行われている。

 確かに「実行」だけのトレーニングはオーガナイズも楽だし、やっている本人も成長がすぐに実感できるので手を出しやすい。でも「相手がいない状態で向き合ってパス交換」の練習で上手にできていた「ボールを扱う技術」だけでは、試合でなかなか生かされない。「それはなぜなのか?」というところを考えなければならないわけだ。例えば日本では、ウォーミングアップの時に機械的に首振りをして周りを見ることを習慣づけようとする。

「フィンケは首振りの練習を見た時に『メッシのウォーミングアップを見たけど、彼は一度もこんなことしてないぞ』って言うんです」

 この指摘はとても興味深い。メッシだからというわけではなく、欧州の育成指導現場を見ていると、確かに機械的な「首振りトレーニング」をしているチームはないからだ。でも、彼らが見えていないわけではない。「見るべきものが何かを分かっているから見る」のと、「見てはいるけど何も情報として入ってきていない」のでは、どちらがプレーに役立つだろうか。目的と手段を間違えてはダメなのだ。(文中敬称略)

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(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)


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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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