東京五輪世代「ポジション別最新勢力図」 トゥーロン&U-20W杯を経て競争激化!

チリ戦の後半21分から途中出場を果たした安部【写真:Getty Images】
チリ戦の後半21分から途中出場を果たした安部【写真:Getty Images】

最激戦区のシャドー、コパ・アメリカ組を脅かすには至らず

【ボランチ】
■コパ・アメリカ組
— 中山雄太(ズヴォレ)
― 松本泰志(広島)
― 渡辺皓太(東京V)
■トゥーロン組
〇 田中 碧(川崎)
○ 高 宇洋(G大阪)
△ 松岡大起(鳥栖)
■U-20W杯組
◎ 齊藤未月(湘南)
○ 藤本寛也(東京V)
△ 伊藤洋輝(名古屋)

 代表常連の中山と松本が一歩抜け出しているボランチのポジション争い。今回のコパ・アメリカでアジア大会以来の招集を受けた渡辺が、どれだけやれるかは注目だが、トゥーロン国際大会とU-20W杯を見た限りでは、下からの突き上げが著しい。トゥーロンでは田中碧と高の2人がアピールに成功。田中碧は、川崎で培った技術力や攻撃的視野を存分に生かしてチームの攻撃を構築。また高は豊富な運動量で相手の攻撃を抑え、時には前への持ち出しで局面を打開するなど、互いに特長を存分に発揮した。

 またU-20W杯では齊藤未月が躍動。東京五輪世代屈指のリーダーシップと統率力でチームを牽引し、中盤ではデュエルの強さを見せてボールを奪取した。彼ら以外にも見どころのあった選手もおり、今後さらにポジション争いが過熱してくるはずだ。

【シャドー/2列目】
■コパ・アメリカ組
— 久保建英(FC東京→レアル・マドリード)
— 三好康児(横浜FM)
— 伊藤達哉(ハンブルガーSV)※トゥーロンにも参加
— 安部裕葵(鹿島)
■トゥーロン組
△ 岩崎悠人(札幌)
△ 神谷優太(愛媛)
△ 三笘 薫(筑波大)
■U-20W杯組
○ 山田康太(横浜FM)
△ 斉藤光毅(横浜FC)
△ 郷家友太(神戸)
△ 中村敬斗(G大阪)

 最激戦区のシャドー(2列目)は、今回のコパ・アメリカに招集されなかった堂安律(フローニンゲン)が最上位か。そこに三好や久保、伊藤らが続く。トゥーロン国際大会では岩崎や神谷、三笘らがこの位置で出場したが、大会を通して大きな成果を上げることはできず。大会途中でコパ・アメリカに合流した伊藤を含めて、もう一つ目に見える結果が欲しかったところだ。

 一方、U-20W杯組ではサイドハーフとして攻守に躍動した山田がアピール。東京五輪の代表に入る場合には、シャドーのポジションを担うことになるだろう。とはいえ、彼ら以外で違いをもたらすことができた選手がいなかったことを考えると、コパ・アメリカ組を脅かすには至っていないというのが現状ではないだろうか。

林 遼平

はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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