仏記者が見るなでしこJ初戦ドロー 単調な攻撃に苦言…「工夫する動きが見られなかった」
「少々がっかりしたと言わざるを得ない」と率直なコメント
なでしこジャパン(日本女子代表)は現地時間10日、フランス女子ワールドカップ(W杯)のグループリーグ初戦でアルゼンチンと対戦。アルゼンチンの守備を崩しきれず、0-0の引き分けに終わっている。
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この試合のなでしこジャパンの戦いぶりは、フランス人記者の目にはどう映ったのだろうか。フットボール界の実態に本音で切り込む貴重なメディアとして業界関係者にも信奉者が多い「カイエ・ドゥ・フットボール」を主宰し、「ル・モンド」紙のコラムニストとしても筆をふるうジェローム・ラッタ記者に、試合後のパルク・デ・プランスで話を聞いた。
ラッタ記者は「前2大会のファイナリストの戦いぶりとしては、今日の日本には少々がっかりしたと言わざるを得ない」と率直なコメントで口火を切り、続けた。
「特に序盤はパスミスなどエラーも目立ち、ボールがしっかりキープできていなかったし、1対1のデュエルでも勝てていなかった。フィジカル的な問題というよりも、ドリブルやパスワークでかわそうと工夫する動きが見られなかった」
この試合で、アルゼンチンは前線に1人を残し、9人でがっちりと守備ブロックを形成して日本の攻撃陣を囲い込んだ。アルゼンチンの強固な守備網に、日本は大いに苦しめられることになる。
「アルゼンチンのブロックはかなりタイトで、ゲーム全体を通して、全体でじりじりと押し上げるディフェンスを貫いていた。そして日本にボールが渡ったときには、ボールホルダーに素早く、時には複数でプレッシングに当たった」
「前半の日本には、そういった場面をドリブルで打開したり、素早いパス回しでブロックを広げたりというような動きが見られなかった。トップの2人、菅澤(優衣香)と横山(久美)は、スピードでもアルゼンチンのDFに劣っていて、真っ先にボールに触る、という重要な役割ができていなかった」
後半の日本はややテンポも上がり、ラインをより高く押し上げて戦った。それでも得点は生まれず、結果はスコアレスドロー。ラッタ記者は次のように指摘する。
「前半は4-4-2だったが、後半は中島がより高い位置に上がって、3トップ気味にすることでアルゼンチンのディフェンスラインを押し下げるとともに、攻撃オプションを模索しているのが見て取れたが、あまり効果的な解決策は得られていなかった。中央から前へ通すパスが目立ったが、(ボランチの)杉田(妃和)と三浦(成美)が、中継役としてオフェンスに違いを生み出すような動きができていなかったのも惜しかった。長谷川(唯)も、いつもはもっと良いプレーをする選手だと思うのだが…」
そんななか、必死に打開を試みた選手としてラッタ記者が名前を挙げたのが、左サイドバックの鮫島(彩)だ。「後半になって、何度もドリブルで突破を試みていた鮫島からは、なんとか打開しようとトライする姿勢が見られた」と話し、その意欲を評価した。