元なでしこジャパンDF岩清水梓、2011年W杯優勝の軌跡に見るタイトルへの“道しるべ”

澤や宮間のサポートを受けながら、「阿吽の呼吸を出せていた」と当時の強さを振り返る【写真:Getty Images】
澤や宮間のサポートを受けながら、「阿吽の呼吸を出せていた」と当時の強さを振り返る【写真:Getty Images】

世界の強豪と戦うなでしこジャパンを勇気づけた「見えない力」

「チーム全体で見れば中堅でしたけど、真ん中(センターバック)を任されていたので、自分がディフェンスラインを仕切ろうという気持ちで向かった大会でした。隣に年上の近ちゃん(近賀)がいてくれて引っ張ってもらいつつ、自分も守備全体の声掛けとか、責任感は持っていました。当時のチームは近ちゃん、澤さん、宮間(あや)さんと、それぞれのポジションに先輩がいてくれて、いろんなところでサポートしてもらいながら阿吽の呼吸を出せていたと思います」

 ドイツW杯でのなでしこジャパン優勝は、2011年3月11日に起こった東日本大震災で大きな傷を負った日本を勇気づける一大ニュースとなった。長年、世界を舞台に戦い続けてきた岩清水にとっても、「見えない力」を感じる大会だったという。

「東日本大震災があって、私たちは暗くなっていた日本に『明るいニュースを届けよう』と合言葉にしていました。もちろん常に全力で戦っていますけど、普段だったら諦めてしまいそうなシーンも諦めちゃいけないという気持ちが強くて、最後の最後まで自分たちが顔を上げ直すことができた。決勝のアメリカ戦で追いついたのが良い例で、いろいろな力が合わさって結果につながったと思います。優勝したことで、女子サッカー、なでしこジャパンという名前をみんなに知ってもらえたし、自分がサッカーをやめてからもずっと記憶に残るような大会になりましたね」

 高倉麻子監督が率いる今回のフランスW杯メンバーで、当時の栄光を知るのは鮫島、熊谷、MF阪口夢穂(ベレーザ)、MF宇津木瑠美(シアトル・レイン)、FW岩渕真奈(INAC)の5人のみ。なでしこジャパンの“伝統”と、17人が初出場というフレッシュさを融合させ、8年ぶりの優勝を狙う。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)



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