元なでしこジャパンDF岩清水梓、2011年W杯優勝の軌跡に見るタイトルへの“道しるべ”

DF岩清水は、当時24歳にしてディフェンスリーダーを担っていた【写真:Football ZONE web】
DF岩清水は、当時24歳にしてディフェンスリーダーを担っていた【写真:Football ZONE web】

「一人ひとりが負けず嫌いで、ひたむきに、絶対に諦めない。その“芯”がなでしこらしさ」

 そんななかで、チームに大きく勢いをつけたのがドイツ戦の勝利(1-0)だった。それまで苦汁を飲まされてきた相手に延長戦に持ち込み、途中出場のFW丸山桂里奈がキャプテンのMF澤穂希のパスから決勝ゴールを挙げ、日本女子サッカー史上初のW杯ベスト4進出。岩清水も大会の“ターニングポイント”にこの一戦を挙げる。

「(優勝が見えてきたのは)やっぱり準々決勝のドイツ戦。諦めずに、やってやろうという気持ちで戦って、延長で(丸山)桂里奈ちゃんが(決勝点を)入れた時には凄いことをしたなと思いました。『ここで勝ったんだから優勝』という欲が出てきましたね。ドイツと戦って感じたのは、自国開催のプレッシャーはとてつもないんだなと。もちろん強かったし、守り切って守り切ってなんとか手にした勝利でしたけど、開催国は応援してもらえると同時に、緊張や焦りにも襲われているんだと」

 準決勝のスウェーデン戦は、相手に先制を許しながらFW川澄奈穂美(現スカイ・ブルーFC)とMF澤が計3ゴールを叩き出して逆転勝ち。決勝のアメリカ戦でも2度のリードを許しながら追いつき、延長戦でも決着がつかずに迎えたPK戦で難敵を退け、悲願の世界一に輝いた。日本中の人々の心を打ったその戦いぶりにより、「なでしこジャパン」の愛称はサッカーファン以外にも広く知られるようになった。当時、輪の中心にいた岩清水は、“なでしこらしさ”をどのように捉えていたのか。

「当時のチームは個性豊かで、キャラクターが強いメンバーが揃っていましたね(笑)。一人ひとりが負けず嫌いで、ひたむきに、絶対に諦めない――。当時、それぞれが持っていた“芯”が、なでしこらしさだと思います。本当に、最後まで諦めないメンバーでした」

 岩清水自身、当時は24歳にしてDF近賀ゆかり(現オルカ鴨川FC)、DF熊谷紗希(現リヨン)、DF鮫島彩(現INAC神戸レオネッサ)と並ぶ最終ラインを引っ張るディフェンスリーダーを担っていた。「24歳……よく考えたら(リーダーとして)若いですね」と笑いつつ、自分の役割について振り返る。

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