アジア杯16強へ、日本代表を待つ強豪国と“伏兵の落とし穴” 「総力戦」で駆け上がれるか

F組1位になった日本は、ラウンド16でE組2位のサウジアラビアと対戦する【写真:AP】
F組1位になった日本は、ラウンド16でE組2位のサウジアラビアと対戦する【写真:AP】

サウジアラビアに対し主力の体力面では有利か 勝利しても侮れない8強で待つ曲者

 F組1位になった日本は、ラウンド16でE組2位のサウジアラビアと対戦する。3試合目でカタールに0-2と敗れたサウジアラビアは、2連勝ですでにグループリーグ突破を決めていたが、そのカタール戦で日本ほどターンオーバーを使っていない。もし勝って1位突破となればそのままアブダビに残り、しかも1日休養できるメリットもあったが、それを達成できなかった。主力の体力面では、日本のほうに少し利があるかもしれない。

 それでもアルゼンチン人のフアン・アントニオ・ピッツィ監督は、4-1-4-1の中盤でタイトにプレッシャーをかけてボールを奪い、ポゼッションからでもカウンターからでも迫力ある攻撃を繰り出してくる。これまでの相手より日本が押し込まれる時間帯も出てきそうだが、苦しい時間をいかに耐えながら自分たちに流れを引き寄せるかが重要になる。森保監督の状況に応じた選手交代も、グループリーグのそれよりはるかにシビアになる。

 サウジアラビアに勝てればヨルダンとベトナムの勝者が準々決勝の相手になるが、比較的恵まれた相手と見られるチームが”落とし穴”を用意しているのは、アジアカップでは常識的だ。好調のヨルダンは典型的なカウンタースタイルのチーム。ウズベキスタンほど連動性はないが、その分も縦の推進力と鋭さがある。日本にとってはむしろやりにくいかもしれない。ベトナムは韓国人のパク・ハンソ監督がハードワークをベースとした強度の高いサッカーを植え付けており、その中でベトナム人アタッカーの個人技が発揮される。この2カ国より日本の力は上だが、特徴がある両チームだけに1つの心理的な隙が落とし穴になりうる。

 準決勝は順当ならイラン、決勝は韓国とオーストラリアが有力だが、中東の大会でもあるだけに、好調のカタールか開催国UAEなども可能性は十分にある。ウズベキスタンもベストメンバーで臨むオーストラリア戦では勝機があり、そこから決勝まで躍進してもおかしくない。

 2月1日にアブダビで行われる決勝まで、日本代表が勝ち残るためにはチームとしての大会中の成長が不可欠。準決勝の相手がイランとなれば、かなり厳しい戦いになることは間違いないが、まずはサウジアラビアに勝利して弾みをつけ、“総力戦”で駆け上がりたいところだ。

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(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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