ストラカンが今も讃える中村俊輔の“天才的”フリーキック 「まだまだ現役でいられる」

(左から)セルティック時代のMF中村俊輔、ストラカン元監督【写真:Getty Images】
(左から)セルティック時代のMF中村俊輔、ストラカン元監督【写真:Getty Images】

セルティック時代の恩師が気にかけた“愛弟子”の近況

「ナカはどうしている?」

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 セルティックの元監督であるゴードン・ストラカン氏が、真っ先に尋ねてきたのが中村俊輔の近況だった。

 時は8月25日。場所はサウサンプトン対レスターのプレミアリーグ第3節が行われた、セント・メリーズ・スタジアムの記者室だった。

 若干、白髪が増えた感じではあったが、小柄な体には余分な脂肪は全くついておらず、今も精悍な印象。昨年10月、ロシアW杯出場を果たせず、スコットランド代表監督を辞任し、現在は解説者として活躍している。

 英国では言わずと知れた名選手で名監督。雲の上のような存在ではあるが、今ではお互いメディアで働く立場。同じ部屋で取材の準備をする縁も手伝い、思い切って「ミスター・ストラカン、かつてはくだらない質問ばかりして失礼いたしました」と声をかけてみた。

 するとかつてのスコットランド人闘将は、私の顔を見つめて「セルティックの時の?」と話しかけてくれた。私がうんと頷くと、「今ではこの通り、私も取材する側で君と同じさ」と愉快そうに言って、笑顔で握手をしてくれた。そしてすぐさま「How is Naka?」と、冒頭の一言を発したのである。

「40歳になりましたが、今も現役です。しかも2013年にはJリーグのMVPを受賞しています」と答えると、ストラカン氏は少しのけぞるようにして「ワオッ」と一声上げ、「He is a good boy」と、まるで父親が孝行息子を褒めるように、嬉しそうに呟いた。

 ストラカン氏自身も168センチの小さな体でスコットランド、そしてイングランドの一流クラブを渡り歩きながら40歳までプレーした。1957年生まれの61歳。74年のデビュー当時は選手の健康管理に対する意識がまだまだ低く、飲酒も一般的だった世代だが、当時から節制に努めアバディーン、マンチェスター・ユナイテッド、リーズといったビッグクラブの中心選手として活躍し、現役生活を全うした。

森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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