ストラカンが今も讃える中村俊輔の“天才的”フリーキック 「まだまだ現役でいられる」

中村とともにセルティックを去った闘将

 こうした戦術面の方向転換も、現役当時、小さな体ながら豊富な運動量でスペースを作り、ワンテンポ早いパス回しで激しい英国サッカーの中盤を支配した“技巧派”のストラカンらしいものだった。

 ストラカン監督と中村の加入年となった2005-06シーズンから、セルティックはスコットランド・プレミアリーグ3連覇を達成。CLでも06-07、07-08シーズンと2年連続でベスト16に進出し、ヨーロッパでもその存在感を示した。なかでも中村は“あのフリーキック”2発で注目を浴び、「世界のNAKAMURA」となった。

 しかし4連覇を達成できなかった08-09シーズン直後、二人は同時にセルティックを去る。

 その後、ストラカン氏はチャンピオンシップ(英2部)でプレミア昇格を狙うミドルスブラの監督に就任。そしてエスパニョールで出番がなかった中村に、獲得オファーを出したのは有名である。

 このエピソードを知るだけでも、ストラカンが中村をどれだけ高く評価していたのか、窺い知ることができる。そして今でも特別な愛情を持って、かつての教え子の行く末を気にかけていたのである。

森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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