原口元気は「笑わない」 夢のW杯で闘う男の美学「サッカーがつらいのは当たり前」

コロンビア戦で右アウトサイドとして先発し、チームへの献身性を示した【写真:Getty Images】
コロンビア戦で右アウトサイドとして先発し、チームへの献身性を示した【写真:Getty Images】

コロンビア戦でも示したチームへの限りなき献身

 コロンビアとのゲームが終了した瞬間、原口元気は精魂尽き果てたようにピッチに突っ伏し、勝利の余韻を噛み締めた。初めて立ったワールドカップの舞台、少年の頃から抱いてきた夢の舞台に臨んだ彼が心に携えたのは、チームへの限りなき献身だった。

「本当にきつかったですけど、本当に勝利だけを求めて、しっかり走れたかなと思います」

 コロンビア戦で原口が任されたポジションは、4-2-3-1の右アウトサイド。パラグアイ戦でも途中出場から同じポジションでプレーしていた彼は、西野朗監督から重要なタスクを託されていた。それはサイドバックの酒井宏樹、ボランチの柴崎岳らとともに相手左サイドのホセ・イスキエルド、ホアン・モヒカらを抑え込むこと。そして好機では敵陣へ打って出て積極的に攻撃へ関与することだった。

「前半からワールドカップの雰囲気もあり、心拍数もすごくかかっていて、なかなかきつかったです。特にリードして守り切る最後の10分くらいはもう、本当にきつくて倒れそうでしたけども、最後まで走りきれました」

 攻守両面で貢献する――。

 それは原口が、ドイツ・ブンデスリーガでプレーし始めてから常に念頭に置く責任の果たし方だ。2014年夏まで在籍した浦和レッズ時代は攻撃に特化して守備がおざなりになることもあったが、今の彼にその面影はない。ただ一方で、本人は自らの守備がことさらにクローズアップされる現状評価に違和感を覚えてもいる。

島崎英純

1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。

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