「あれは悔しい」 前橋育英の智将、6発快勝も初失点に苦言 1年前の屈辱を胸に決勝へ

「去年の決勝で力のなさを味わったから…」

 勝因の一つに、左CKから奪った先制点を挙げた。DF角田涼太朗の蹴ったボールを、松田がヘッドで叩き込んだもの。山田監督は「なかなか点を取れないと相手に我慢強くやられ、ウチがじれて焦り始める悪い方向にいく感じがしていた。あれで少し落ち着けた」と百戦錬磨のベテランは振り返った。

 山田監督がもう一つ強調したのが、前半29分の初失点だ。相手がゴール左隅に決めたシュートも上手かったが、まんまと守備ラインを割られた。「あれは悔しい、悔しい」と二度も同じ言葉を発し、「まあ選手はもっと悔しいことでしょう」と少しだけ語気を荒げた。

 決勝で顔を合わせる流通経済大柏は、藤枝東(静岡)、浦和南(埼玉)、国見(長崎)、東福岡(福岡)に続いて史上5校目の高校総体との二冠を目指す難敵だ。昨夏の高校総体が1失点で、今大会は無失点の堅陣を誇る。

 通算7ゴールで得点王がほぼ当確の飯島は、「去年の決勝で力のなさを味わったから、ここまで成長できたと思う。相手は勝負強い印象があるが、自分が決めて優勝し監督を胴上げしたい」と意欲を示した。

 指揮官は0-5の大敗がこのチームの出発点だという。1年前の惨敗後、山田監督は「準優勝だから胸を張って帰ろう」と選手を労わったが、今回は優勝して群馬に凱旋するつもりだ。

 今季公式戦の対戦成績は、前橋育英がプリンスリーグ関東で連勝し、流通経済大柏が高校総体準決勝で勝ち、“タイガー軍団”の通算2勝1敗となっている。第75回大会の千葉・市立船橋と神奈川・桐光学園以来、6度目の関東決戦を制するのは果たしてどちらになるのだろうか。

【了】

河野 正●文 text by Tadashi Kawano

フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web

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