開幕時から実に17倍の8000億円超に プレミアリーグの放映権料はどこまで高騰するのか

プレミアの放映権料の分配は欧州5大リーグで最も平等

 ところでプレミアリーグの放映権料の分配は欧州5大リーグの中で最も平等である。成績で首位と最下位クラブ間での分配比率はプレミアリーグが1・54:1、ブンデスリーガ(ドイツ)が2:1、リーグアン(フランス)が3・51:1、セリエA(イタリア)が10:1、そしてラ・リーガ(スペイン)では何と12・5:1の格差が存在している。

 一方で、下位リーグとの収入格差は深刻だ。折れ線グラブが示すのは過去10年間分のプレミアリーグと2部から4部を構成するフットボールリーグの総収入を示したものである。プレミアリーグの年平均成長率は9・7%であるが、チャンピオンシップは5・8%、リーグ1は3・4%、そしてリーグ2は5%となっている。

 比較

 元の収入差も大きいにも関わらず、さらに年平均成長率を見てもプレミアリーグを下回っている。つまり、その格差は広がるばかりである。

 もちろん、下位リーグのクラブは昇格するために選手補強をしなければならない。新しい放映権料では、プレミアリーグにいれば放映権料だけで年間およそ75億円の資金が入るため、下位リーグは収入に見合った補強をせず、赤字になろうとチーム強化をし、プレミアリーグ昇格を急ぐ。

 今シーズンからプレミアリーグからチャンピオンシップに降格したチームには2年間だったパラシュートペイメントが4年間に増えた。一度プレミアリーグに入れば、万が一降格したとしても4年間放映権料が手に入るのである。これも下位リーグに長年所属しているチームにとって、昇格する壁がさらに大きくなっている要因の一つだ。プレミアリーグに入る莫大な放映権料は他リーグより公平な分配であるものの、下位リーグとの格差は開く一方である。

【了】

政本晶生●文 text by Akio Masamoto

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