カズ危機感「満足感があった」 劇的敗戦に強い口調…わずか数分「フワッとした感じ」

福島のカズ【写真:徳原隆元】
福島のカズ【写真:徳原隆元】

大宮に1-2で敗れた福島の三浦知良「1-1の時点で満足感があったのかも」

 J3の福島ユナイテッドFCがJ2のRB大宮アルディージャ相手に勝ち点獲得を逃した。福島は5月3日、J2・J3百年構想リーグ第14節で大宮と対戦。後半アディショナルタイムのゴールで追いつきながら直後の失点で1-2と敗れた。劇的ゴールでサポーターを盛り上げたものの、勝ち点を得ることはできず。ベンチで敗戦を見届けたFW三浦知良(カズ、59)も危機感をにじませた。

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 試合終了まで、残りわずかだった。ゴール前でのパスが、攻め上がっていたU-23日本代表DF土屋櫂大の前にこぼれた。右足シュートはゴール右へ。劇的なゴールで追いつくと、スタンドの福島サポーターの歓喜が爆発した。

 ところが、直後のプレーで歓喜の声がため息に変わる。アディショナルタイムの5分を過ぎて試合終了のホイッスルが鳴る直前、大宮のDF関口凱心がペナルティーエリアの外から左足で強烈なミドルシュート。ボールは風にも乗ってゴール左上に突き刺さった。

 PK戦突入直前で喫した敗戦。寺田周平監督は終了間際に追いついたことを評価しながらも敗れたことに「非情に悔しい」と唇をかんだ。前半から福島らしい選手間の距離を短くしたテンポのよいパスサッカーを披露し、ミスから先制を許したものの終盤猛攻を仕掛けて追いついた。

 しかし、結果は黒星。わずか数分を守り切れなかった。土屋はプロ初ゴールを喜びながらも「振り返ってみれば、自分も含めて少しフワフワしたところがあったかもしれない」と反省。GKチョン・ソンリョンも「やっぱり、経験が足りないですね」と1-1のまま試合を終えられなかったことを悔やんだ。

 ベンチから見守っていたカズは「たらればですけど」と前置きしながらも「1-1の時点で満足感があったのかも」。土屋の言葉と同じように「少しフワッとした感じだった」と話した。そして、PK戦から敗戦になったこととは「大きな違い」と強い口調で断じた。

 百年構想リーグはシーズン移行にともなう特別リーグで、昇格や降格もない。どのチームも夏以降に始まる26-27年シーズンを見据えて臨んでいる。福島も最大の目標のJ2昇格に向けて、このリーグ戦でチーム作りを進めている。だからこそ「何度も経験しているけれど、勝ち点1をとるのと、0で終わるのとでは違う」と言った。

 プロ生活40年、優勝争いはもちろんだが、残留争いも数多く経験していた。昨季プレーしたアトレチコ鈴鹿は終了間際に勝ち点を逃す試合が続き、最後は勝ち点1足りずに回った入れ替え戦で敗れて地域リーグに降格した。「もちろん、やっている選手たちは必死。ただ、やりようはある」。J2昇格を目指すなら、勝ち点を確実に手にするメンタルの強さ、試合運びのうまさも必要になる。

 前節は今季最高とも言える試合内容でアウェーの長野戦に3-1と完勝した。だからこそ、カズは「この前の勝ちが、今日勝つことによってさらに大きな自信になる」と話し「負けて成長することもあるけれど、今日は勝って成長しなければいけなかった。残念です」と悔しそうに話した。

 確かに「主導権を握ってパスで中央突破してゴールする」福島の攻撃サッカーは成長している。この日は大宮の宮沢悠生監督(40)からも「独特なテンポ感のある素晴らしいサッカー」と称賛された。しかし、いくら内容がよくても、負ければ勝ち点は0だ。

 カズとチョン・ソンリョンを除けば、若いチーム。この百年構想リーグで経験を積み、自信を深めることが「本番」の来季へのステップになる。リーグ戦は残り4試合、J2昇格に向けて勝ち点を積み重ねることも大切だ。

(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)



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荻島弘一

おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。

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