日本とスペイン…育成年代で「ゲーム理解度に差」 現場コーチが力説「もう一段階進化できる」

日本とスペインの現場を知るサウール氏に話を聞いた
スペイン1部・2部リーグのラ・リーガと「EA SPORTS」は3月13日、都内で「NEXT GEN DRAFTS JAPAN 2026」の日本初開催について記者発表を行った。
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日本で初開催される「NEXT GEN DRAFTS」は14日、15日の2日間にわたり、Ankerフロンタウン生田で行われる。対象はU-15年代の男女で、計168人が参加。最終的に男子4人、女子4人の計8選手がスペイン遠征に招待される。
招待された8人は、スペインのマドリードを中心に10日間滞在する。日本のほか、メキシコ、ナイジェリア、モロッコ、中国から選抜されたメンバーとともに現地でトレーニングに励む。プロ選手と同様の生活を送りながら、スタジアム見学なども含めて欧州仕様の環境を肌で体験できるという。費用は主催者が全額負担する。
日本の若い才能がスペインの環境に触れる今回の取り組み。では、両国の育成年代にはどのような違いがあるのか。ラ・リーガでスポーツプロジェクト・スペシャリストを務め、日本とスペインの現場で指導経験もあるサウール・バスケス氏に、その違いについて話を聞いた。
サウール氏は「日本の子供たちには、スペインの子供たちよりも優れた技術を持つ選手がいるのは確かです。コントロール、パス、シュートなどのスキルは素晴らしい」と前置きしたうえで、「同年代の日本人選手とスペイン人選手の差」について語る。
「同年代の日本人選手とスペイン人選手の差は、スペインが『高いレベルで競い合っている時間の長さ』にあると思います。例えば14歳の子を比べた時、技術的には日本人が同等か、それ以上かもしれません。しかしスペインの子供たちは、私たちのトレーニング方法によってゲームをより深く理解しています。そこでスペインが少し上回るのです。技術の差ではなく、ゲーム理解度の差です」
スペインの育成年代では年間50試合をこなし、実戦能力を養う機会が多いという。一方で、日本の育成年代ではトレーニング強度が高く、反復的な練習が多い傾向があると指摘。「ゲーム理解度を高める練習を増やせば、日本はもう一段階進化できる」と提言した。
そして現在、スペイン1部のレアル・ソシエダで活躍する日本代表MF久保建英に次ぐ「NEXTクボ」の誕生については、「私は魔法使いではないので予言はできませんが、日本は正しい道を歩んでいます」と、日本の育成年代に必要なことを指摘した。
「タケ(久保)は素晴らしい選手ですが、彼は長くスペインにいて『スペイン化』されています。これは非常にポジティブなことです。タケのように、子供たちをスペインに送り体験させるプロジェクトは重要です。外の世界のサッカーを日常的に経験する日本人が増えれば、第二のタケは確実に現れるでしょう」
久保に加え、現在FCバルセロナで活躍し、背番号10を背負うFWラミン・ヤマルらを引き合いに出しながら、スペインの選手たちが世界最高峰の舞台で結果を残せる理由を分析する。
「スペインが勝っているのは『ゲームを理解するサイクル』ができているからです。スペインの若い選手は、非常に早くトップチームやチャンピオンズリーグのレベルに到達します。ラミン・ヤマルのような例もありますが、フェルミン・ロペスのように、すでにラ・リーガで活躍している選手がU-21やオリンピック代表にいる。若いうちにラ・リーガやCLを経験している選手がいるチームに勝つのは非常に困難です。この『若くして頂点に触れる経験』が、単に『良い選手』か『非常に優れた選手』かの違いを生みます」
今回のようなプロジェクトの重要性に触れながら、日本の育成年代に足りないものとして「ゲーム理解度」を挙げたサウール氏。日本人の「規律正しさ」を称賛する一方で、時には型を破ることの大切さも語った。
「日本人選手は非常に規律正しく、正しくプレーすることができます。しかしサッカーでは、時としてルールを破る必要があります。南米の選手やスペインの選手たちは、まるでルールがないかのようにプレーし、自分で考えてプレーに落とし込みます。日本人選手はルールに従うことがほとんど。ここが大きな違いです。身体能力も高く、技術もある。あとはその『想像する力』です」
日本の子供たちが備える技術力を評価しながらも、「想像する力」の必要性を説いたサウール氏。世界基準の環境に触れる今回のプロジェクトが、日本サッカーの底上げにつながっていく。
(FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真 / Takuma Uehara)




















