3月英国遠征の最注目は?「サプライズではない」 ロス世代の20歳…W杯優勝への“ラストピース”
日本代表は3月にイギリス遠征を行い、グラスゴーでスコットランド、ロンドンのウェンブリーでイングランドと対戦する。2023年の9月にドイツ、トルコと対戦して以来、実に2年半ぶりの欧州勢との対戦であり、しかも相手が本大会への出場を決めているスコットランドと優勝の有力候補であるイングランドということで、本番3か月前のテストとしては理想的な相手と言える。

日本代表は3月にスコットランド、イングランドと対戦する
日本代表は3月にイギリス遠征を行い、グラスゴーでスコットランド、ロンドンのウェンブリーでイングランドと対戦する。2023年の9月にドイツ、トルコと対戦して以来、実に2年半ぶりの欧州勢との対戦であり、しかも相手が本大会への出場を決めているスコットランドと優勝の有力候補であるイングランドということで、本番3か月前のテストとしては理想的な相手と言える。
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森保一監督はこのシリーズにできるだけ今のベストと考えられるメンバーで臨みたいようだが、招集人数に関しては従来の27人よりも増える可能性がある。ようやく戦線復帰したばかりの冨安健洋をここで招集するのかどうかなど、外からは測りきれない要素もあるが、昨年の11月シリーズから陣容がどこまで変わりうるかを考察したい。
GKは鈴木彩艶(パルマ)が左手の負傷から回復し、メンバー入りした。ただし、代わりにパルマのゴールマウスを守ってきたエドアルド・コルビに大きな不安がなく、代表ウィークまで残り3週の期間で、復調途上の守護神を無理に出場させることは考えにくい。ただ、怪我前までの立ち位置や100%に戻れば、本番で正GKとしての働きが期待されるだけに、3人目もしくは例外的に4人目のGKとして招集される可能性もある。
現在の状態を考えれば、昨年11月のガーナ戦とボリビア戦にフル出場の早川友基(鹿島アントラーズ)はほぼ確定、さらに天皇杯・準決勝のために招集外だった大迫敬介(サンフレッチェ広島)の復帰は濃厚か。小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン)はチームの躍進を支えており、レギュラーシーズンの数節を残して、すでに上位6チームで争われるプレーオフ1進出が決定。心身の充実ぶりを代表でぶつけて、序列を覆すチャンスでもある。野澤大志ブランドン(アントワープ)もベルギーリーグでさらに経験を積み上げており、引き続き招集されてもおかしくない。
センターバックは11月シリーズの2試合でスタメン起用された谷口彰悟(シント=トロイデン)をはじめ板倉滉(アヤックス)、鈴木淳之介(コペンハーゲン)、渡辺剛(フェイエノールト)は所属クラブでの状態を考えても招集のプライオリティは高い。板倉は軽度の負傷も、深刻な問題ではないことが伝えられる。安藤智哉(ザンクト・パウリ)もアビスパ福岡から欧州に渡り、ドイツ1部で存在感あるパフォーマンスを見せている。そこに怪我から復帰の伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)が加わることが期待されるが、再び筋肉系のトラブルを発生したという現地の情報もあり、代表復帰に向けて不透明な状況だ。
そこにプラスする形で冨安が入るかどうか。一方で1月末の試合で負傷し、肋骨の骨折が明らかになった瀬古歩夢(ル・アーヴル)は代表ウィークまでには復帰見込みだが、仮に招集GOサインが出たとして、上記のメンバーとの兼ね合いも出てきそうだ。ただ、瀬古に関しては3バックの全ポジションに加えてボランチもこなせる守備のポリバレントでもあるだけに、ライバルとの単純比較では済ませにくいところもある。高井幸大(ボルシアMG)に関しては現在のパフォーマンスをどう見極めていくか。彼に関しては菅原由勢(ブレーメン)や望月ヘンリー海輝(FC町田セルビア)の招集有無もセットで見極めになるかもしれない。そのほか、同僚の野澤とともに、ベルギーで地盤を築いている綱島悠斗(アントワープ)も再び浮上してきてもおかしくない。
ボランチはキャプテン遠藤航(リバプール)の招集が難しい状況で、佐野海舟(マインツ)と藤田譲瑠チマ(ザンクト・パウリ)の招集は間違いないところだ。彼ら“ブンデス組”に比べると、田中碧(リーズ)がここのところ出場機会を失っているのは気になるが、経験も能力もわかっている中で、スコットランドやイングランドを相手に、改めて価値を示す好機でもある。そこに着実な復調を見せる守田英正(スポルティング)が再び加わる可能性は高いか。遠藤の状況を考えても、ここで経験豊富な守田を代表復帰させる意味合いは大きい。
ただし、佐野航大(NECナイメヘン)のように、評価を急上昇させているタレントを思い切って強豪にぶつけていくのは1つ有効なプランだろう。新たに“欧州組”となった田中聡(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)はドイツの2部ながら、しっかりと試合に出て奮闘している。伊藤敦樹(ヘント)は2024年夏に渡欧してから代表招集は無いが、ベルギーで最も安定してチームの勝利を支えている一人だ。ヘントはプレーオフ1入りを伊東純也を擁するKRCヘンクなどと激しく争っており、ちょうど代表ウィーク前までの4試合で命運が変わってきそうだ。

塩貝健人が呼ばれてもサプライズではない
ウイングバックに関しては中村敬斗(スタッド・ランス)と堂安律(フランクフルト)に加えて、前回は負傷中だった三笘薫(ブライトン)と伊東という左右の翼が、日本代表にも復帰してくるはず。ただ、2人ともアップダウンの消耗が激しいウイングバックでフル稼働するというよりは、シャドーでの起用もセットで考えられそうだ。さらに本大会での多様な戦いを想定しても、記念すべきグラスゴーでの代表戦となる前田大然(セルティック)はここでも外しにくい。
19歳の佐藤龍之介(FC東京)もシャドーとのポリバレントで期待したいが、ブレイクしたファジアーノ岡山から東京に戻って、なかなか主力としての地位を奪えていないというのはアピールという意味で気になるところだ。佐藤にとっては同クラブの大先輩となる長友佑都(FC東京)は前回、大迫や望月、相馬勇紀(FC町田ゼルビア)と同じく、天皇杯の準決勝が優先される形で招集が見送られたと考えられる。百年構想リーグで3試合スタメン出場していることもあり、3月の招集から外れることは想定しにくい。もちろん最終メンバーに生き残るためには、戦力としても価値を示す必要はあるが、キャプテンの遠藤やリーダー格の南野拓実(ASモナコ)がいないチームでは、経験豊富な39歳DFの重要性が増しそうだ。
その南野を膝の負傷で欠くシャドーのポジションは久保建英(レアル・ソシエダ)も左足のハムストリングを怪我しており、所属クラブも復帰に向けて慎重な姿勢を取っている。もし再発すれば北中米W杯の本番を棒に振ることになるだけに、英断だろう。カタールW杯のメンバーであり、最終予選でも主力を担ってきた南野と久保が、3月シリーズにダブルでいないとなると、シャドーのところは起用法も含めて、選考が難しい。
朗報はもう一人の主力である鎌田大地(クリスタル・パレス)が右ハムストリングの怪我から復調してきたことだ。2月19日に行われたヨーロッパリーグのプレーオフ、ズリニスキ戦の第一レグでフル出場。3日後のプレミアリーグ第27節ウォルバーハンプトン戦にも後半スタートから起用されて、1-0の勝利に貢献した。現在クリスタル・パレスではボランチが固定的になっているが、“森保ジャパン”のチーム事情を踏まえても、3月シリーズはシャドーがメインになると見る。
そこにブンデスリーガで確かな存在感を示す鈴木唯人(フライブルク)やオランダで好調の三戸舜介(スパルタ)、攻守両面に高い強度を出せる北野颯太(ザルツブルク)などが、いかに絡んでくるか。昨年10月のパラグアイ戦で左ウイングバックとして起用され、ほろ苦いA代表デビューを経験した斉藤光毅(QPR)も、シャドーのポジションが手薄になったことで、ここで再びチャンスが巡ってくる可能性がある。1月11日のFAカップで前半途中に負傷交代し、チャンピオンシップのリーグ戦3試合を欠場したが、復帰後はスタメンに定着。前々節のブラックバーン戦で今年の初ゴールを記録している。
シャドーとウイングバックのポリバレントとしては森下龍矢(ブラックバーン)も年明けの怪我を乗り越えて、同僚のFW大橋祐紀とともに、代表復帰に向けて猛アピールを続ける。降格危機にあったクラブも3連勝を飾り、だいぶ盛り返してきた。森保監督がイングランド2部に相当するチャンピオンシップを高く評価する事実を踏まえても、この2人が好調であることは森保ジャパンの競争を活性化する意味でも大きい。
FWは上田綺世(フェイエノールト)と町野修斗(ボルシアMG)は健在だが、小川航基(NECナイメヘン)が元浦和レッズのブライアン・リンセンを1トップに置くディック・シュロイダー監督のプランもあり、出場機会を減らしているのは気がかりだ。一方で昨年11月に初招集されて、2試合に起用された20歳のFW後藤啓介(シント=トロイデン)はベルギーで躍進するチームを引っ張る活躍を見せて、リーグ戦の二桁得点も記録した。前回は大型FWを4人招集したことで話題を集めたが、引き続きチャンスを得る可能性は高いだろう。
そうした中で大橋の復帰も期待されるが、未招集の選手としては塩貝健人(ヴォルフスブルク)が3月シリーズでA代表に初招集されてもサプライズではない。前所属のNECからフィニッシャーとしての評価を確立しており、新天地でもアウクスブルク戦で途中出場ながら、ブンデスリーガ初ゴールを記録した。2005年3月生まれの20歳で、後藤と同じロス五輪世代だが、一振りで試合を決める決定力は本番に向けた“ラストピース”にふさわしいものがある。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。






















