半年間の特別大会は“W杯最後の選考会”になるか 国内組に求められる「格の違うプレー」

半年間行われる百年構想リーグ【写真:徳原隆元】
半年間行われる百年構想リーグ【写真:徳原隆元】

百年構想リーグで求められる「格の違うプレー」

 2月6日に百年構想リーグが開幕した。引き分けが存在せずPK戦まで行われるという特別ルールで、昇降格もなく、これまでの出場や得点記録に合算されない特別な位置づけということで、何となくシーズン移行前のお祭り感があるようにも思える。第3節まで終了し、PK戦で決着がつく試合も多い。

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 もっとも、一部の選手にとってこの大会は大きなチャンスであり、どの試合、どのプレーもこれまでよりも大切になってくるはずだ。ワールドカップ(W杯)出場のために残されたわずかなチャンスをつかみ取るための舞台なのだ。そしてそこには課題も横たわっている。

 2018年の森保一監督就任以来、日本代表のメンバーはヨーロッパで活躍する選手が大幅に増えた。また層も厚くなり、2020年の段階で招集メンバーが海外組だけというレベルに達している。

 だが森保監督がメンバー選考の最後の段階では国内組に目を配っていないかというと、そうではない。それは2022年カタールW杯のメンバー選考を見れば明らかだ。

 2022年、日本は3月を迎えた時点でまだワールドカップ出場を確定していなかった。勝負となったのは3月24日に開催されたアウェイのオーストラリア戦。後半39分に途中出場した三笘薫が同44分から2点を挙げ、日本は見事に本大会行きを決めた。

 背水の陣だったこのときの招集メンバー26人のうち、6月に4試合が組まれていたキリンチャレンジカップにも招集された選手は20人。そしてこのアジア3次予選オーストラリア戦とキリンチャレンジカップの両方に招集された26人の中で、W杯本大会に出場した選手は18人いる。

 ただし、3月と6月の両方で召集されていたものの、メンバー発表直後にアキレス腱断裂で中山雄太がメンバー外となったことを考えると、実際は重複していたメンバーは19人で、この選手たちがコアメンバーだったと言える。

 森保監督は、本大会に出られる18人のコアメンバー以外に誰を入れるかという選択をすることになった。2022年大会は各国リーグの最中ということで、中山を筆頭にケガの選手が数多く、選手層は厚くなったといえ、多くの選手たちのコンディションの状態を調べなければならなかったことだろう。

 また、選出できる選手の数が2018年ロシアW杯までの23人から3人増えたことも大きなポイントとなった。23人ならばGK3人を除くとフィールドプレーヤーは20人。各ポジションに2人ずつ配置できるが、負傷者が出る可能性を考えるとポリバレントな選手を入れておく必要がある。

 それが3人増えたことでスペシャリストを入れることができるようになった。対象となる選手が広がったと言えるだろう。そんな状況になったところで迎えたのが7月に開催されたE-1選手権だった。

 国内組で構成された日本代表は2勝1分で優勝を果たし、大会MVPに相馬勇気(名古屋・当時)、得点王(3点)に相馬と町野修斗(湘南・当時)が選ばれる。コアメンバーだった谷口彰悟(川崎・当時)以外に、相馬がワールドカップメンバー入りを果たし、町野は追加招集されることになったのだった。

 つまり、現在の「百年構想リーグ」はこの2022年E-1選手権と同じ状況だと言えるのだ。しかもE-1選手権は3試合しかなかったが、このリーグ戦は試合数がたっぷりある。ここでアピールすることが、今年のワールドカップに向けた最後のチャンスになるのは間違いない。

 そしてそこにJリーグの課題が浮かび上がる。それは国際試合並みの強度のプレーが続く試合が出来るかどうかだ。どれだけゴールを重ねたとしても相手のチェックが甘ければ、森保監督は評価できないはずだ。

 攻守においてヨーロッパ並みのインテンシティを保てるか。トップオブトップの選手たちが集まっているヨーロッパ主要リーグに比べると違うのは仕方がないのなら、たとえば森保監督がリーグ・ドゥでプレーする中村敬斗(スタッド・ランス)に求めているように「格の違うプレー」を見せられるかどうかということになるはずだ。

 また、出場時間が短い、途中交代が多いということも評価を下げる要因になるだろう。もっとも、激しいプレーをしながら長時間戦い抜ける選手が集まる大会がW杯というもの。「百年構想リーグ」が少しでもW杯のレベルに近づこうとする大会になることが、日本代表に多くのJリーガーを送り込むことになるだろうし、Jリーグのレベルを上げてくれることになる。

 そしてもしかしたら、この大会のPK戦で素晴らしい成績を出した選手は、これまでベスト16で2回PK戦敗退を喫している日本代表の切り札になる……かもしれない。

(森雅史 / Masafumi Mori)



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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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