Jリーグ、28年ぶりPK戦…導入には賛否「ルーレットと同じ」 復活となった「決め手」

試合数が少なく、引き分けがあると順位決定がしにくくなる可能性
2月6日に開幕を迎えた百年構想リーグでは、PK戦が導入された。Jリーグでは1998年以来の28年ぶりだ。
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サッカーでPK戦が認められたのは1970年から。それまではコイントスやくじ引き、あるいは再試合での決着が一般的だった。
1976年欧州選手権の決勝がPK戦で優勝チームが決まった最初だ。チェコスロバキアが西ドイツにPK戦の末に勝利。優勝を決めたアントニーン・パネンカによるチップキックは話題となり、PKでのチップキックは「パネンカ」と呼ばれるようになった。
PK戦の導入にあたっては賛否があり、反対意見としては「ルーレットと同じ」「サッカーとは無関係」などがあったが、試合数増加による日程過密で再試合が難しくなり、くじ引きよりマシということで定着していった。
Jリーグは1993年の開幕時からPK戦を採用している。90分間で同点の場合は延長を行い、どちらかが得点した時点で終了というVゴール方式だった。これでも決着がつかなければPK戦に突入というレギュレーション。
すっかり忘れていたのだが、当時のJリーグには勝ち点がなかった。引き分けがないので、単純に勝ち数で順位を決めていたのだ。90分勝ち、Vゴール勝ち、PK勝ちは等しく勝利にカウントされていた。勝ち点がなく、引き分けもない。世界的に異質なリーグだった。
しかも試合は週2回ペース。水曜日と土曜日に開催されていて、回復が精一杯でまともなトレーニングがなかなかできない状況。PK戦も5人で決着がつかないことがあり、それもアウェーゲームだったりすると疲労が残ったまま次の試合に臨まなければならなかったものだ。
百年構想リーグでは90分間勝利には勝ち点3が与えられ、PK戦勝利は2ポイント、PK戦負けは1ポイント。当たり前だが勝ち点はちゃんとある。
90分間で劣勢でも、PK戦で勝てば2ポイント獲れるので弱者に有利にも思えるが、強者にとってもドローなら1ポイントで「2ポイント逃した」ことになるが、PK戦に勝てば失うのは1ポイントになる。ある程度、取りこぼしをカバーできる可能性があるわけだ。
ワールドカップ(W杯)ではノックアウトステージから延長、PK戦が行われる。日本代表はラウンド16で過去2回PK戦を経験しているが、2010年はパラグアイ、2026年はクロアチアに敗れてベスト8を逃している。PK戦はアンダー世代の世界大会やAFCチャンピオンズリーグでも採用されており、実際にPK戦による決着は頻繁に起こっている。2022年W杯決勝もPK戦決着だった。
PK戦はサッカーとは言えないかもしれないが、キッカーとGKの間には高度な駆け引きがあり、独特な緊迫感があって別物としての魅力はある。現状、これで勝敗が決まる以上、PK戦を軽視することはできない。
とはいえ、百年構想リーグでPK戦が採用されたのは勝ち点を分散させたいからだろう。
地域リーグはJ1の場合、東西それぞれ10チームのホーム&アウェーの18節。試合数が少ないので引き分けがあると勝ち点差がつきにくく、順位決定がしにくくなる可能性がある。Jリーグは引き分け数も比較的多く、試合ごとに勝ち点差をつけたほうがいいというのが導入の決め手になったのではないか。

西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。




















