J1レフェリーの「特徴分析」 警告内容に傾向…注意すべき「ちゃんと取ってくるからね」

レフェリーも人間である限り、そこにはどうしても個性が表れる
Jリーグの担当審判が発表された。新たに主審5人、副審10人が加わったものの、2025年の全153人からは4人減っている。日本サッカー協会審判委員会は、プロフェッショナルレフェリーの増員や支援体制の拡充、早期育成、マッチクオリティアセッサーの試行導入などに取り組んでいるが、今年もジャッジを巡ってさまざまな意見が出てくるだろう。
【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!
こうした組織的な取り組みとは別に、今回は「選手を応援する」ファン・サポーターに向けて、あるデータを作成した。それは「レフェリーの特徴分析」だ。
もちろん、どのレフェリーも均一な基準でジャッジを下すことが理想なのは間違いない。しかし、人間である限り、そこにはどうしても個性が表れる。ならば試合を見る際、「きょうのレフェリーはこの人だから、応援のときにこんな部分に気をつけよう」というポイントが分かっていれば、より有益なサポートができるはずだ。
たとえば、異議に対して厳しいレフェリーが担当するのであれば、選手が熱くなったとしても、周囲がなだめる声をかけることで無用なカードを防げるかもしれない。そこで、2025年のJ1全380試合の公式記録から、どの主審がどのような傾向にあるかを算出してみた。
まず注目すべきは、警告の多いレフェリーだ。こうした主審が担当する試合では、選手にはいつも以上に冷静なプレーが求められる。
昨年、1試合平均で3枚以上のイエローカードを提示したのは、椎野大地主審、先立圭吾主審、上田益也主審、笠原寛貴主審、木村博之主審の5人だ。ただし、椎野主審は2025年の担当が2試合に留まっているため、データの解釈には注意が必要だ。その他の主審は多くの試合を担当しており、それだけ信頼度が高く、ピッチの温度が上がりやすい難しい試合を任されていたとも言えるだろう。
続いて、カードの中身からレフェリーの個性を掘り下げていく。昨シーズンのJ1におけるレッドカードは26枚。このうち10枚は警告2回による退場だが、特に注意を払うべきは「一発退場」だ。
審判にとって、退場という重い判断を下すのは心理的抵抗が大きいと言われる。それでも毅然と赤いカードを掲げる勇気を持つレフェリーに対しては、選手はより慎重なプレーを心がけなければならない。
2025年のJ1で一発退場を2回以上記録したのは、池内明彦主審(得点機会阻止、暴言)、笠原主審(著しく不正なプレー、乱暴な行為)、大橋侑祐主審(得点機会阻止2回)の3人だ。もっとも、退場という重大な局面には必ずVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入するため、これだけで審判の個性を断定するのは難しい側面もある。
これに対して、イエローカードは原則としてVARの介入がない(レッドカードへの変更が検討される場合などを除く)。つまり、警告の傾向にこそ審判の個性が色濃く反映されるのだ。
それはどんな部分か。まず警告には、「反スポーツ的行為」「ラフプレー」「異議」「繰り返しの反則」「遅延行為」「距離不足」「無許可入」「無許可出」という8種類がある。このうち「距離不足」「無許可入」「無許可出」について2025年は警告が出なかった。
また「繰り返しの反則」が総警告数の中で占める割合はわずか3%。「異議」「遅延行為」も7%、8%とあまり多く起きる反則ではない。
つまり「反スポーツ的行為」と「ラフプレー」との合計が、全体の82%を占める。そして全レフェリーで考えると「ラフプレー」の警告は「反スポーツ的行為」のカード数を上回るのだが、レフェリーの中には「反スポーツ的行為」で出した警告数のほうが多いレフェリーがいる。
該当するのは荒木友輔主審、中村太主審、清水勇人主審らで、特に荒木主審は「ラフプレー」の倍の「反スポーツ的行為」のイエローカードを出していた。
「反スポーツ的行為」は「シミュレーション」「直接FKになるような販促を無謀に行う」「相手の大きなチャンスとなる攻撃を妨害または阻止するためにボールを手や腕で扱う」「試合にとってリスペクトに欠ける行為を行う」などを示す。「荒木主審、ちゃんと取ってくるからね!」ということなのだ。
ちなみに、2025年の総警告数は945枚。1試合平均2.5枚のイエローカードが出ている。今後ますます試合の強度が増し、警告・退場数が減るという方向になってほしいものだ。なお、過去J1で一番多く警告が出た試合は、2004年5月9日の清水エスパルスvsセレッソ大阪戦で、両チーム合わせて13枚のカードが出た。この記録を塗り替える試合が出てこないことも望みたい。
と、ここまで試合を応援する人たちの役に立ちたいという思いで計算してきたが、どうもこのデータ、実際はJクラブにも役立つ気がしてきた。もしかしたらJクラブはすでに計算して持っているのかもしれない。ほら、あの監督が「このレフェリーは異議に気を付けろ!」と叫んでいる姿が思い浮かぶでしょ?
(森雅史 / Masafumi Mori)

森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。






















