鹿島優勝に心境変化「いろんな感情」 初タイトルも…元日本代表の本音「しんどいな」

町田の昌子源が昨シーズンを振り返った【写真:増田美咲】
町田の昌子源が昨シーズンを振り返った【写真:増田美咲】

町田の昌子源「サポーターの皆さんがどれくらい来るかというのも楽しみです」

 FC町田ゼルビアのDF昌子源は昨季、キャプテンとしてクラブ初タイトルとなる天皇杯優勝へと導いた。個人としてもJ1リーグ全38試合にフルタイムで出場し、ACLエリートを含むカップ戦を合わせると公式戦52試合中50試合に出場した鉄人ぶり。今季も主将を務める33歳に、インタビューで思いを聞いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全3回の1回目)

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 昨シーズンの手応えを胸に、心身ともに充実した状態で向かう百年構想リーグ。そうかと思いきや、「でも案外、そうでもないですよ。けっこうしんどいなと思うことのほうが多かったです」と昌子。ファン・サポーターの目には映らないところで、極限の状態で戦っていたという。

「目に見える世界というか、表側ではトロフィーを掲げてフルタイムで出てと映りますけど、いろいろ考えさせられたシーズンではありました。キャプテンだからかもしれないですけど、全部がうまくいったかと言われるとそうではなかった。そこを自分の中で消化して、今シーズンは入らないとなと思っています」

 では、うまくいかなかったと感じる部分とは、どこなのだろうか。

「何かもっとこうすればよかったんじゃないかというのを、いかに選手とスタッフとの間に入ってやったりとか。なかなかうまくいかないチームメイトに何て声かけようかとか。僕個人のせいで負けた試合ももちろんあるし。でもどちらかというとキャプテンとしての仕事に、少し難しさを感じた瞬間は多かったです」

 なかなか勝てない時期には、キャプテンとして調整役を務めた。「ストレートに言うべきところと、間接的なところと、そういうのを使い分けて。監督、コーチの性格とかもあるので、そういうのも考えながら立ち回った時期というのがあって、そこはけっこう考えましたね」。頭を悩ませながら立ち振る舞った。

「何か思っていることがあるかと聞いたら、みんな僕にはストレートに言うじゃないですか。でも、僕が間に入っても、監督に同じようにストレートで言えるかと言ったら絶対に言えない。だから僕がストレートで受けたことをストレートで伝えると、フィルターがかかってまた違うことになる。そこの難しさというのは、去年ちょっと話し合う機会というのが多かったので、大変でしたね」

 毎年、キャプテン総選挙によってそのシーズンのキャプテンと副キャプテンを決めている町田。3年連続で指名された昌子だが、鹿島アントラーズと日本代表では、偉大なキャプテンたちを目の当たりにしてきた。それが小笠原満男氏(鹿島コーチ兼アカデミーアドバイザー)と長谷部誠氏(日本代表コーチ)だ。

「もし鹿島で総選挙やったら、満男さんだったら満票入るんちゃうかなと思います。そのくらい絶対的だったので。そうはなれないので、でもあの人だったらどうしてたかなとは考えます。代表だったら長谷部さんとかね。こういうときって長谷部さんだったらどうしてたかなとか、そういうのも考えたりしますね」

 偉大な2人への憧れを抱きながらも、昌子が今模索しているのは自分なりのキャプテン像。彼らの物真似ではなく、そのときの状況に応じて、自ら解釈しながら進んできた。

「でも、あの人たちになりたくてあの人たちを目指すと、たぶん崩れていくんですけど、自分のスタイルのなかであの人たちだったらどうしたかなと、寄せに行くのはあります。だけど、真似しようと思ったことはないです。かなり寄せに行くとき、若干寄せに行くときがありますけど、真似をしようとは思わないです」

 また今オフ、チーム最古参だったFW中島裕希がカターレ富山に移籍。「富山に移籍するわ」と言われ、「えーって、まず、第一声はこういうリアクションになって」と振り返る。そのなかで、「でも、町田は源がしっかりやっている以上は、絶対大丈夫って思うから。自分を信じて頑張れ」とエールをもらったという。

「苦しいときを経験している選手がもういない。じゃあ、その人たちがいないから、僕らはその時代を知らないので。とはできない。そこを背負わないといけないというのは、裕希くんがいなくなって感じます。それを誰が一番背負うとかはないですけど、強く思わないといけないのが僕の立場かなと感じています」

 クラブハウスやシャワーも無かった時代を知る選手がいなくなり、背負うものが多くなったなかで迎える百年構想リーグ。「やるからにはチャンピオン狙いたい」と宣言するが、やはり一番の難敵は前年王者の鹿島だろう。昨季は古巣に優勝を奪われた昌子だが、天皇杯制覇の前後で気持ちに変化があったという。

「不思議なんですけど、僕らが天皇杯を優勝する前は、やっぱりすごくいろんな感情があったんです。鹿島が首位もしくは2位とかにいたときは、正直に言ってやっぱり嫌だなと。優勝してほしくないなと思った。だけど、一番最後に優勝したのも僕がいたときなんです。国内は2016年からタイトル獲れていなくて」

 そのような感情にさせたのは、2017年の苦い記憶だ。首位で迎えた最終節でジュビロ磐田と引き分け、川崎フロンターレに優勝をさらわれた。「自分のプロキャリアで、今だにトップ5に入る悔しい試合でしたね」と振り返るが、柴崎岳、植田直通、鈴木優磨、三竿健斗ら元チームメイトの思いもよく知っている。

「何か鹿島はそれじゃあだめだよねというのは知っているので、それは対戦相手としては嫌だけど、一度鹿島を背負った身としては、そろそろ鹿島が獲ってまたやっぱり強えなって思われたいというか。ちょっとやっぱり寂しいですよね、鹿島がタイトル獲れていないというのは、という感情がもちろんありました」

 そんなモヤモヤした気持ちのなかで迎えたのが、11月22日に行われた天皇杯決勝。3-1で勝利してクラブ初タイトルに貢献した昌子は、試合後に涙を流した。「リーグタイトルのほうが1年間を戦っているので、重みは違うけど」と前置きした上で、古巣のリーグ優勝を素直に称える心境に変化していったという。

「だから鹿島が優勝したときは、嫌だった気持ちがほぼなくなって、鹿島がやっと獲れたという感覚ではいましたけどね。ちょっと嬉しいというか。僕らが天皇杯を獲ったからこそ思えた余裕なのかもしれないですけど。あの鹿島が国内だと8年獲れてないのは、寂しいところはあったので。その感情でいましたね」

 しかし、来たる百年構想リーグでは、鹿島に優勝を譲る気持ちはさらさらない。まずは2月6日、アウェーでの横浜F・マリノス戦で、勝ち点3を掴むのが重要だ。「(J1では)初めて開幕をアウェーで迎えるので、サポーターの皆さんがどれくらい来るかというのも楽しみです」。チーム一丸となり、頂点を目指す。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)



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