兄は高卒→欧州挑戦「僕もそうなりたい」 選手権優勝も…かけられた「もっとできたな」

神村学園の花城瑛汰「チャレンジすることの大事さは兄から学びました」
高円宮杯プレミアリーグは鹿島アントラーズユースの優勝で、第104回全国高校サッカー選手権大会は神村学園の初優勝で幕を閉じた。2025シーズンを終え、各クラブユース、高体連のチームは新チームをスタートさせ、新たな戦いに向けて準備を進めている。4月のリーグ本格開幕を前に虎視淡々と上を目指すチーム、選手にスポットを当てていきたい。
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第1回は新人戦鹿児島県大会から。神村学園の伝統的なエースナンバー14を引き継いだMF花城瑛汰について。ドイツのフランクフルトU-21に所属し、高卒海外で奮闘する兄・琳斗に刺激を受け続けている花城の覚悟とは。
神村学園の14番と言えば、これまで橘田健斗(川崎フロンターレ)、大迫塁(セレッソ大阪)、名和田我空(ガンバ大阪)と錚々たるメンバーが背負い、攻撃の中枢として君臨してきた伝統のエースナンバーだ。
昨年は福島和毅(アビスパ福岡)が背負い、初の全国優勝となるインターハイと選手権の2冠に導いて、チームの歴史を大きく塗り替えたことで、より14番は重たい番号になった。その番号を引き継いだのが選手権で5試合すべてに出場し、決勝では後半41分から出場し、2年生で唯一ピッチを踏みしめた。
「14番はずっと背負いたいと思っていたので覚悟はできていました」
1月19日、新チームの初陣となる新人戦鹿児島県大会2回戦・鹿児島南戦を迎えた。この2日前のメンバー発表で14番であることを伝えられた。憧れであり、自分が背負わないといけないと思っていた番号。プレッシャーに対しても、「苦しいときに打開したり、流れを引き寄せたりする選手になるために必要なもの」としっかりと受け止めていた。
新チームが始動して5日後という状況もあり、試合は立ち上がりからチーム全体に硬さが見られた。だが、そのなかで「3-4-2-1」のインサイドハーフでスタメン出場をした花城は豊富な運動量と技術を駆使して、福島のように『いて欲しい場所』に顔を出してボールを受け、ドリブルで仕掛けたり、テンポの良いパスでリズムを作ったりとチームの起爆剤となった。
FW岡野綱人のゴールで1点リードして迎えた後半途中に、花城はボランチにポジションを移すと長短のパスで攻撃を組み立て、3点目の起点になるなど終わってみれば4-0の勝利に貢献。初陣を完封勝利で飾った。
「今年もサイドに特徴的な選手がいてチームの強みでもあるので、もっとサイドの個性を生かして攻撃をして、守備も全員でプレッシングをしていくために、自分がスイッチになれたらと思います」
言葉の端々からエースとしての自覚がにじみ出てきていた花城は、身近に大きな刺激を与えてくれる存在がいる。3歳年上の兄・琳斗はJFAアカデミー福島U-15、U-18を経て、高卒でドイツの名門・シュツットガルトに加入し、現在はトップチームにMF堂安律、DF小杉啓太、FW神代慶人の3人の日本人選手が所属するアイントラハト・フランクフルトのU-21チームでプレーしている。
「よりいい選手になるためには、大学からプロに挑戦するより、チャンスがあるなら早い段階からどんどんチャレンジしていかないといけない。常に上を目指し、チャレンジすることの大事さは兄から学びました」
兄が中学進学と同時に故郷の沖縄からJFAアカデミーに飛び立ったように、「6年間、きっちりと技術や人間性を磨きたかった」と神村学園中学に進学した。
「兄は言葉の壁や文化の違いに苦しみながらも、常に自分と向き合って切り開いていこうとしている。僕もそうなりたいし、海外は練習から身体ごと刈りに来たり、激しく寄せてきたりと、スピードも強度もすさまじいと聞きます。それはうまくなりたいだけでなく、生き残るためにバチバチやることが世界の厳しさであり、重要なことだと思うので、僕もその意識を持ってやり続けたいと思っています」
優勝後、兄から「もっとできたな」と厳しくも愛のあるメッセージをもらい、気持ちを奮い立たせた花城は、14番として、昨年のインターハイ、プレミアリーグ、選手権全てを経験してきた者として、目標達成に全力を尽くす1年をスタートさせた。
「国立は本当に『夢の舞台』でした。決勝は6万人もの人が見つめるなかでプレーする経験は本当に刺激的で、『やっぱり誰もが憧れる舞台なんだな』と改めて思いました。だからこそ、もう一度あの舞台に戻りたい。それにいま、学校に優勝旗が7本(県新人戦、九州新人戦、インターハイ予選、インターハイ、九州大会、選手権予選、選手権)あって、今年それを1本も返してはいけないと思っているので、まずはこの新人戦でしっかりと結果を残さないといけないと思っています」
覚悟と自覚を持ったエースナンバー14は、プレッシャーを力に変えて周りを唸らせるプレーでより上のステージに進んでいく道を切り開いていく。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。





















