故郷のJクラブ内定「恩返しをしたい」 大学4年で急成長…恩師の一言で決断「本当に来てよかった」

札幌内定が決まっている川原颯斗【写真:安藤隆人】
札幌内定が決まっている川原颯斗【写真:安藤隆人】

札幌内定が決まっている国士舘大学4年のDF川原颯斗

 筑波大学の優勝で幕を閉じた第74回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)。今年は全国7地域のリーグ戦で上位となったチームが12月8日に一発勝負のプレーオフを戦い、勝者が関東王者の筑波大学、九州王者の福岡大学、関西王者の関西学院大学、東海王者の東海学園大学がいるそれぞれのリーグに入って決勝ラウンドへ。敗者が強化ラウンドとなるリーグ戦に移行するという方式で覇権を争った。

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 ここではインカレで輝いた選手たちの物語を描いていく。第23回は12年ぶりのインカレ決勝進出を果たすも、惜しくも決勝で敗れた国士舘大のDFリーダー・川原颯斗について。175cmのCBは4年間で身につけた守備スキルと持ち前のビルドアップ能力を兼ね揃えて、古巣であり、故郷のクラブに帰還する。

「前半はいい形で自分たちのペースで進めていたのですが、なかなかシュートまで持っていけなかった。筑波の後半の改善の仕方はさすがだったなと思いますし、3失点目は自分が少し待ってしまったところを突かれて、最後は足先で行ってしまってMF大谷湊斗選手に決められてしまった。悔しさはありますが、国士舘大として今年1年間トライし続けたハイラインを最後までやり切れたことはプラスに考えています」

 26年ぶり5度目の優勝を狙ったが、筑波大の1年生・大谷の2ゴールを含む3失点で0-3の敗戦を喫した。川原の言葉通り、チームの信条として貫いてきたハイラインの裏を突かれての2ゴールだったが、関東大学サッカーリーグ1部で最後まで優勝を争ったライバルに対し、真っ向勝負を見せた結果ゆえに、胸を張っていいものだった。

 この1年間、チームを支えたのは間違いなく川原だった。本職はCBとボランチ。北海道コンサドーレ札幌U-15、U-18時代もこの2つのポジションを器用にこなし、国士舘でも両方を主戦場としながら、高い守備スキルと両足遜色なく蹴ることができるフィードとビルドアップ能力を評価されて今年はCBで固定されていた。

「自分でも不思議なんですけど、中学、高校、大学と最終学年になるとCB固定になるんです」

 こう笑うが、その理由はそれぞれの期間で周りからの信頼をガッチリと掴んでいるからだと感じた。努力家で周りに対して気を配ったり、変化に気づいたりできる人間性を持ち、指導者の考えやチームメイトの特徴や性格の把握を3年間、4年間かけてきっちりできるからこそ、最終学年はDFリーダーとしての役割を託されるのだと。

 実際にこの1年、頭脳的なラインコントロールとボールを失わないキープ力、展開力を駆使して、チームのハイラインを支えた。これによって中盤がコンパクトになり、前線からのプレスも効力を発揮し、ショートカウンターからゴールを射抜くスタイルで筑波大との激しいリーグの優勝争いを演じた。そしてインカレでも激戦を勝ち抜いて、ファイナリストまで残った。

 結果はリーグもインカレも筑波大の後塵を拝す形で準優勝に終わったが、川原を始めチームが残した躍動は素晴らしいものだった。

「もともと国士舘大に来たのは、ユース時代の恩師である森下仁之(故人)さんの母校で、森下さんから『行ってみないか』と言ってもらえたから。課題だった守備力と走力を『ここなら克服できるぞ』と言ってくださったので来ました。本当に来てよかったと思っています」

 4年間でプレー的にも人間的にもさらに成長をした川原は、来季から生まれ育った故郷であり、古巣である札幌に加入する。

「北海道は本当に大好きなので帰ってくることができて嬉しいですし、責任も感じます。北海道で生まれ育ち、コンサドーレで育ててもらったのでここから恩返しをしたいと思っています」

 札幌ではボランチをメインにしながらも、シャドーやCBもできる準備もしている。どこで起用されても監督やチームの意図を汲み取って、プレーで表現をすることができるユーティリティーとして、これまでと同様にコツコツと周りの信頼を掴んでいくために。北の大地で培ってきた財産を存分に発揮をする。

(安藤隆人 / Takahito Ando)

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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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