久保建英が記録した最悪の成績「尻窄みに」 現地記者が指摘…怪我以外の要因「阻んでいる」

ソシエダの久保建英【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
ソシエダの久保建英【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

「久保が好調であればチームも調子を取り戻せるはず」 スペイン人記者が久保の復活を期待

 ラ・リーガ第17節レバンテ戦、レアル・ソシエダの日本代表MF久保建英は今季2点目を自身初のヘッドで決め、ポジティブな気持ちで2025年最後の試合を締めくくった。しかし、試合後のインタビューで「徐々に尻窄みになってしまった部分があった」と語った通り、今季前半戦は久保にとって厳しいものになった。

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 久保はレアル・ソシエダ在籍4シーズンで3度目となる開幕弾を記録し、幸先の良いスタートを切るも、9月上旬に行われた日本代表のメキシコ戦で左足首を負傷。それ以降、怪我を押して出場し続けたことがたたり、3試合の欠場を余儀なくされ、完治までに2か月を要することとなった。

 この影響を大きく受けた久保のシーズン前半戦の公式戦成績は16試合、1015分出場、2得点1アシスト(リーグ成績は15試合、935分出場、2得点1アシスト)。これはレアル・ソシエダでの過去3シーズンの同時期と比べ、最も悪い成績である。

 それは地元紙の評価にも表れている。「エル・ディアリオ・バスコ」紙による久保の今季ここまでの公式戦の平均評価は2.2点(最高5点)で、パフォーマンスが徐々に低下していった昨季終了時の2.8点を下回っている。

 レバンテ戦の取材に訪れていたクラブの地元ラジオ局「オンダ・バスカ」のサムエル・バルカルセル・ララニェタ記者は、怪我で苦しんだ久保の今季前半戦をこう振り返っている。

「久保はラ・レアルの象徴的存在だが、今季は足首の問題で勢いに乗れていない。チームが直面している成績不振の問題は彼の不調も一因と私は思っている。今日はゴールを決め、久々に素晴らしい試合をしたと思うが、助っ人選手でありチームの中心だ。そのため、皆がより多くのことを彼に求めている。久保が好調であればチームも調子を取り戻せるはずなので、負けず嫌いな彼がこの状況を好転し、名誉挽回する姿を見られることを願っている」

 久保があまり活躍できていない理由については、チーム状態が関係していると考えているようだ。

「チームのボール支配率が以前に比べて高くなく、前線にボールがあまり入っていないことで、久保のチャンスも少なくなっている。以前は個人能力が突出している久保に攻撃のすべてがかかっており、ボールに触る頻度が多かったが、今季は残念ながらボールがあまり渡っていない。さらにアンデル・バレネチェアが好調で、左サイドからの攻撃が多くなっている。怪我で戦線離脱したことに加え、このことも彼の活躍を阻んでいる原因に考えられるだろう」

「オンダ・バスカ」のサムエル・バルカルセル・ララニェタ記者【写真:高橋智行】
「オンダ・バスカ」のサムエル・バルカルセル・ララニェタ記者【写真:高橋智行】

退団の可能性については「ノー」

 苦しい時期を過ごした久保同様、長年続いたイマノル・アルグアシル政権を終え、後任を引き継いだセルヒオ・フランシスコ監督率いるチームも結果を得るのに大いに苦労した。ラ・リーガ開幕からの8試合でわずか1勝と低迷し、降格圏の19位まで沈む時期もあった。

 調子が上向き出したのは奇しくも久保の欠場期間中。ミケル・オヤルサバル、アンデル・バレネチェア、ゴンサロ・ゲデスを中心とした攻撃陣が機能し始め、第9節セルタ戦を皮切りに、公式戦6試合連続無敗(4勝2分け)を達成した。

 ここから巻き返しを図ると思われたが、良い時期は長く続かない。チーム得点王のオヤルサバルの負傷離脱直後に3連敗を喫したことが決定打となり、第16節ジローナ戦後に監督解任が決定。年内の残り2試合をBチームのジョン・アンソテギ監督が暫定的に指揮し、次期監督としてイタリア系アメリカ人のペレグリーノ・マタラッツォ氏を招聘することがレバンテ戦後に発表された。

 レアル・ソシエダはリーグ17試合4勝5分8敗の勝ち点17、降格圏間近の16位という成績でクリスマス休暇を迎えている。早急にこの状況を脱する仕事を担うことになったマタラッツォ新監督に関して、ララニェタ記者は現時点では未知数との見解を示している。

「シュトゥットガルトやホッフェンハイムでの経験がある、ラ・レアルにとって久々の外国人監督だ。まだ何も見ていないので久保の起用法は不透明だが、チームに変革をもたらし、3バックに変更される可能性が高いだろう。期待するのは、悪かったシーズン前半戦のイメージを払拭するためにも、特に選手の意識改革を行い、適切な判断を下してくれることだ」

 また、少し前に今冬の移籍市場でトッテナムが久保を狙っているとの報道があったことについて、「ノー。久保の現状を考えるとないだろう」と退団の可能性を否定していた。

 チームとしても個人としても厳しいシーズンの前半戦を過ごした久保だが、年内最終戦でキャリア初のヘディングシュートを決めたことは、2026年に向けてポジティブな要素となるだろう。クリスマス休暇を経て、1月4日にホームで行われる強豪アトレティコ・マドリードとの一戦で2026年をスタートすることになるが、新監督のもと、心機一転して活躍してくれることを切に願う。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)



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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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